2011 Fiscal Year Annual Research Report
B7-DC-Immunoglobulin融合蛋白を用いた次世代型免疫療法の開発
Project/Area Number |
21591641
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
吉村 清 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (30346564)
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Keywords | 抗体療法 |
Research Abstract |
本研究の目的は樹状細胞とT細胞間の重要な副刺激因子であるB7-DC・B7-H1/PD-1interactionを制御することで、消化器癌肝転移をターゲットとした次世代型免疫療法の開発をすることである。これは、近年の免疫学の進歩により明らかとなった樹状細胞・T細胞間の適切な刺激をB7-DC融合蛋白やB7-H1、PD-1中和抗体でコントロールし、T細胞の適切な活性化とメモリー化を図ることを目的としており、あらゆる免疫療法に広く応用可能な治療法の開発である。本研究が独創的かつ優位であることとして以下の点が上げられる。癌腫を問わず、応用可能であり、癌抗原が同定されたものとの抗原特異的免疫療法との併用も可能であること。世界的な潮流の一つであるT細胞の活性化後の無力化を防ぐ療法であること。免疫療法の最大の利点の一つのT細胞のメモリー化がその特性から期待されること。また抗体療法とは違う融合蛋白を使う点、さらにその変異型を用いる点が従来の免疫療法と大きく異なる。 ターゲットとなるT細胞を活性化するのみでなく、潜在的にはその活性化を遷延させることが可能で、通常はネガティブなシグナルをブロックするやり方をとるのに対し、相対的にポジティブなシグナルの増強でこれをさせようとする。この理由はネガティブなシグナルをブロックするやり方で起こりやすいAutoimmune類似の副作用を出さないようにするためである。肝転移モデルの確立に成功し、さらに皮下腫瘍モデルも用いて研究を行った。結果としてB7-DC融合タンパクによるT細胞の刺激よりは抗B7-H1中和抗体または抗PD-1中和抗体によるT細胞の制御が抗腫瘍効果として非常に有効であることがわかった。これは免疫学的にCD4,CD8T細胞の活性化を長期維持し無力化を防ぐことで威力を発揮していることがわかった。これらは実現実効性の高いトランスレーショナルリサーチとして臨床に還元する予定である。
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