2010 Fiscal Year Annual Research Report
安全で確実な肝移植術後免疫抑制剤離脱プロトコール作成に関する研究
Project/Area Number |
21591642
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
内山 秀昭 九州大学, 大学病院, 助教 (70380425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二宮 瑞樹 九州大学, 特任助教 (30546461)
萱島 寛人 九州大学, 特任助教 (80546557)
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Keywords | 肝移植 / 免疫抑制剤 / 免疫寛容 / 拒絶反応 / HLA |
Research Abstract |
[目的]肝移植をはじめ臓器移植後は拒絶反応抑制のために免疫抑制剤の服用を一生涯必要とする.免疫抑制剤の長期的服用は,経済的な負担のみならず,悪性腫瘍の発生,易感染性,腎不全などの副作用が問題となる.移植肝は心臓や腎臓などと比較して拒絶反応が起こりにくい臓器と考えられており,免疫抑制剤を中止しても約3割に全く拒絶反応が起こらないことが知られている.本研究においては,肝移植後の安全で確実な免疫抑制剤からの離脱プロトコール作成の基礎的、臨床的検討を行うことを目的とする. [方法]マウス皮膚移植を用いた基礎的検討を予定していたが、研究代表者が徳島大学から九州大学に異動となり、生体肝移植症例の多さから、当該年度は、主に臨床データを用いた検討、臨床研究を行ってきた。生体肝移植術後3年以上経過した患者で、ドナーとレシピエントが同時に採血可能な症例を選択し、採血しリンパ球を分離、リンパ球混合培養反応(MLC)を行った。ドナーに対するMLCが第3者に対するMLCよりも低下していれば、ドナーに対する部分的な免疫寛容状態が存在するとして、安全に免疫抑制剤が減量可能と仮定される。 また、これまでの生体肝移植380症例のHLAの組み合わせを検討し、慢性拒絶反応の頻度とHLAのミスマッチとの関連を検討した。 [結果]これまでに8例のMLCを行った。8例中5症例がドナーでのMLCが低下しており、ドナー特異的な免疫寛容が誘導されていることが示唆された。また慢性拒絶反応に関しては夫婦間で多く認められ、HLAとの有意な相関は認められなかった。
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