2009 Fiscal Year Annual Research Report
IL10-GCSF融合蛋白の開発による活性化好中球選択的なアポトーシス誘導
Project/Area Number |
21591651
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
速水 啓介 Hiroshima International University, 保健医療学部, 教授 (50363049)
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Keywords | サイトカイン / 融合蛋白 / アポトーシス / 炎症 / 好中球 / GCSF / IL10 / DIC |
Research Abstract |
本研究では、活性化好中球に対するアポトーシス促進作用を示すIL10と半減期が比較的長く高率に好中球に結合する顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)の性質を活かした融合蛋白を遺伝子工学的手法により作成することで(1)IL10の生体内半減期の延長、および、(2)IL10の好中球への効率的作用を実現することを目的としている。ヒトG-CSF variant 2 cDNAクローンを購入し、大腸菌株DH5をコンピテントセルとしてプラスミドpSP73のMCS上でサブクローニングを進めた。variant 1 GCSFを作成した後に、サイトII変異GCSF、および、GCSFの好中球への結合能のみ残しシグナル伝達によるアポトーシス抑制作用を除去するためのサイトIII変異拮抗型GCSFをデザインし作成した。ヒトIL-10cDNAについては、LPS刺激ヒト白血球から抽出したRNAを逆転写して得たcDNAから制限酵素サイトを組み込んだプライマーを用いてPCRにより増幅した後に、Josephsonらの方法を基本として、ヘリックスDとEに介在するヒンジ部分遺伝子をinverse PCRで延長することで、安定した構造で生理活性を有するIL10モノマーのcDNAを得た。基本構造は、N端:[拮抗型GCSF]-[リンカー]-[IL10モノマー]-[HAタグ]:C端として種々の融合蛋白CDSをコードしたプラスミドを作成した。無細胞系蛋白翻訳システムを用いてスモールスケールで融合蛋白を合成し、GCSFおよびIL10に対する抗体を用いたサンドイッチ法によるELISAにより、適切な長さのリンカーを持つものを選択した。本研究の継続は、手術侵襲、ARDS、敗血症、熱傷に共通する全身性炎症反応症候群(SIRS)から播種性血管内凝固症候群(DIC)を発症し、多臓器不全により死に至る病態の治療法の開発につながるものと信じている。
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