2011 Fiscal Year Annual Research Report
IL10-GCSF融合蛋白の開発による活性化好中球選択的なアポトーシス誘導
Project/Area Number |
21591651
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
速水 啓介 広島国際大学, 保健医療学部, 教授 (50363049)
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Keywords | サイトカイン / 融合蛋白 / アポトーシス / 炎症 / 好中球 / GCSF / IL10 / DIC |
Research Abstract |
活性化好中球に対するアポトーシス促進作用を示すインターロイキン10(IL10)と半減期が比較的長く高率に好中球に結合する顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)の性質を生かした融合蛋白を遺伝子工学的手法により作成することで、IL10の生体内半減期の延長と好中球への効率的作用を実現することを目的とした。 ヒトGCSF cDNAクローンおよびRT-PCRにより調整したヒドIL10 cNDNAを用い、大腸菌株DH5αをコンピテントセルとしてプラスミドpSP73のMCS上でサブクローニングを進めた。variant 1 GCSFを作成した後に、サイトIII変異による拮抗型GCSFを作成した。また、ヘリックスDとEに介在するヒンジ部分遺伝子をinverse PCRで延長することで、安定した構造で生理活性を有ずるIL10モノマー(IL10M)のcNDNAを得た。これらとリンカーから、野生型IL10、IL10M、野生型GCSF-IL10M融合蛋白、拮抗型GCSF-IL10M融合蛋白をコードしたプラスミドを作成した。無細胞系蛋白翻訳システムを用いて蛋白を合成し、GCSFおよびIL10に対する抗体を用いたサンドイッチ法によるELISAにより、両方のエピトープが検出される融合蛋白を選択した。蛍光標識抗IL10抗体を用いたフローサイトメトリーにより、作製した融合蛋白にヒト好中球への結合性が認められた。野生型IL10とIL10MのLPS刺激白血球におけるTNFα分泌抑制能は80%以上で同等であり、融合蛋白ではその2/3程度であった。IL12の分泌抑制能はいずれも90%以上で同等であった。本研究により、GCSFとモノマー化IL10で構成された融合蛋白が好中球結合能を持ち、白血球からの炎症性サイトカイン分泌を抑制することが実証され、新たな抗炎症薬となりうる可能性が強く示唆された。
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