2011 Fiscal Year Annual Research Report
悪性腫瘍間質細胞による前転移ニッシェ形成と転移促進のメカニズムの解明
Project/Area Number |
21591655
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
樋田 泰浩 北海道大学, 北海道大学病院, 講師 (30399919)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋田 京子 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 特任准教授 (40399952)
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Keywords | 癌 / 血管新生 / 転移 / 血管内皮細胞 |
Research Abstract |
<腫瘍血管内皮細胞(TEC)と腫瘍細胞の共移植の肺転移への影響> 腫瘍細胞と腫瘍間質由来の血管内皮細胞(TEC)の共移植の肺転移への影響を解析するために,ウィルスベクターを用いてそれぞれの細胞に蛍光タンパク遺伝子を導入した.腫瘍細胞にはmRFP,TECにはVenusを導入した.腫瘍細胞は転移能の低いA375悪性黒色腫細胞株を用いた.TECはこのA375の移植腫瘍組織から分離培養したLM-TEC(Low metastatic TEC),転移能の高い悪性黒色腫細胞株A375SM(SM,super metastatic)の移植腫瘍組織から分離培養したHM-TEC(Highly megastatic TEC)を用いた.これらのTECの対照として正常皮膚血管内皮NEC(normal EC)を用いた.これらの内皮細胞をヌードマウスに共移植するとHM-TECと共移植することで本来肺転移を来さないA375の血管内移行と肺転移形成が認められた.LM-TECやNECと比較して有意な差が認められた. <in vitro解析> 腫瘍とTECの共移植による転移促進のメカニズムを検討するためin vitro assayを行った. A375はHM-TECに対して最も強く遊走し,内皮細胞をシート状に培養したものの上で培養すると,その下に潜り込む様子が共焦点顕微鏡で観察された.HM-TECとの共培養で腫瘍細胞のintravasationが亢進していることが示唆された. <Intravasation亢進の分子機構> 本研究期間中に腫瘍血管内皮細胞特異的なbiglycanの高発現を見出した.Biglycanのintravasationへの関与を検討した.A375はbiglycanに対して遊走し,siRNAでbiglycanのノックダウンを行うとA375のHM-TECへの遊走は阻害された.この阻害はbiglycanタンパクの添加で相殺された. <結果のまとめ> 以上の結果より,LM-TECとA375の共培養による肺転移の促進は,TECの高発現するbiglycanが腫瘍細胞をTECに引きつけて血管内へとinvravasationさせることがひとつの機序であることが示唆された.
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