2011 Fiscal Year Annual Research Report
新たな乳癌治療のための家族性乳癌原因遺伝子の新規関連分子の機能解析
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21591656
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
千葉 奈津子 東北大学, 加齢医学研究所, 准教授 (50361192)
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Keywords | がん / BRCA1 / 細胞分裂制御 |
Research Abstract |
家族性乳癌原因遺伝子BRCA1はその生殖細胞系列変異による乳癌や卵巣癌を発症する重要な癌抑制遺伝子で、その遺伝子産物BRCA1は、DNA修復、中心体制御、クロマチンリモデリング、転写制御などの細胞内の多様な機構に関与する。BARD1はBRCA1とヘテロダイマーを形成し、BRCA1の腫瘍由来の点突然変異によりBARD1との結合能とユビキチン化能は阻害される。そこで、BARD1と結合する分子をプロテオミクス解析で探索したところ、BRCA1/BARD1複合体に結合する新たな分子を同定した。その機能を解析したところ、細胞分裂制御に重要な中心体やmidbodyに局在することが明らかになり、本分子の発現を抑制すると、中心体数の増加と多核細胞の増加、増殖速度の低下、細胞質分裂の異常が見られた。よって、本分子は中心体制御と細胞質分裂制御に関与していることが明らかになった。さらに、本分子の中心体制御のメカニズムについては、本分子がγ-tubulinと直接結合し、BRCA1と協調してγ-tubulinを安定化することが明らかになった。興味深いことに、乳癌細胞株で本分子の変異が既に同定されており、この遺伝子変異により、γ-tubulinとの結合能と安定化能が著しく減弱していた。また、臨床検体での検討も行い、本分子の局在が癌組織で変化していることも明らかになった。さらに、本分子に結合する新規分子の同定にも成功し、機能を解析したところ、本分子と同様に、中心体制御や細胞質分裂に関与することが分かった。また、個体レベルでの本分子の機能消失の影響を観察するため、ノックアウトマウスの作製も既に開始した。今後、本分子の中心体制御やさらに細胞質分裂における機能をより詳細に明らかにすることで、新たな発癌機構の解明と治療法の開発のための分子基盤を築くことが可能になると考えられる。
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Research Products
(13 results)