2009 Fiscal Year Annual Research Report
糖転移酵素の発現をコントロールすることによる乳癌の治療法の開発研究
Project/Area Number |
21591667
|
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
近藤 昭宏 Kyoto Institute of Technology, 遺伝資源キュレーター教育開発センター, 特任教授 (60359841)
|
Keywords | 乳腺外科 |
Research Abstract |
レトロウイルスを用いたsiRNAにより培養細胞のFUT8遺伝子の発現抑制に成功した。これらの細胞では、その酵素活性、及びこれに由来する糖鎖構造はほぼ完全に消失した。トリプシンは食物の消化に重要であるだけではなく、がん細胞の転移・浸潤のステップやシグナル伝達にも関与することが知られている。PAR-2はシグナル伝達系の膜タンパク質であり、FUT8の発現がPAR-2などの細胞の機能を制御する細胞表面分子の働きに重要な役割を果たしていることを解明している。つまり、FUT8遺伝子をノックダウンさせることにより癌の増殖抑制が可能であることを示唆している。この作用が乳癌細胞についても確認できれば、FUT8遺伝子の発現又は機能を抑制することにより、乳癌の増殖抑制に応用できる可能性があることになる。 培養乳癌細胞(MCF-7細胞、T-47-D細胞、ZR-75-1細胞、MDA-MB-231細胞)におけるPAR-2の関与を調べるため、FUT8遺伝子をノックダウンさせる実験を行った。 1. FUT8ノックダウンによる種々の乳癌細胞における増殖抑制効果の検証 MCF-7細胞、T-47-D細胞、ZR-75-1細胞、MDA-MB-231細胞にレトロウイルスを作用させ、siRNAにより培養細胞のFUT8遺伝子の発現抑制に成功した。現在、細胞の選別中で、出来次第増殖抑制効果のチェックを行う。 2. FUT8ノックダウンによる乳癌細胞増殖抑制機構の解明 JUN、FOSをはじめEGFシグナリングの下流領域の解析を進めている。1. のKD細胞がうまく選別できれば、測定は容易になると考える。
|