2010 Fiscal Year Annual Research Report
糖転移酵素の発現をコントロールすることによる乳癌の治療法の開発研究
Project/Area Number |
21591667
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
近藤 昭宏 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教授 (60359841)
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Keywords | 乳腺外科 |
Research Abstract |
ウイルスベクターを用いたsiRNA技術により培養細胞の糖転移酵素のひとつであるフコーストランスフェラーゼVIII (FUT8)遺伝子の発現抑制に成功している(Kondo et al. 2006, BBA 1746 (12) : 1881)。そして、我々はFUT8遺伝子をノックダウンさせることにより癌細胞の増殖抑制が可能であることを示した(国内出願:特願2008-502868、国際出願:PCT/JP2007/054035)。 本プロジェクトでは、FUT8遺伝子をノックダウンさせることによる乳がんにの新たな治療法の開発を研究開発することが目的である。これまで、肝がん細胞や膵がん細胞では、その酵素活性、及びこれに由来する糖鎖構造はほぼ完全に消失させることに成功している。 培養乳癌細胞であるMCF-7細胞においてFUT8遺伝子をノックダウンさせる実験を行ったところ、siRNAにより培養細胞のFUT8遺伝子の発現抑制に成功した。しかし、携帯培養した細胞が必ずしも安定した癌細胞の増殖抑制効果が維持できていない現象を観察した。これは、以前の肝がん細胞や膵がん細胞とは、少し異なる状況である。 理由は、いくつか考えられるが、主たる可能性は以下の3点。 1. MCF-7細胞の性質によるもの。この場合は、他の乳がん細胞の実験結果と比較すると分かってくることが有るはずである。 2. 現在使用しているMCF-7細胞の性質によるもの。解決策は、例えば、もう少し継代回数が低い細胞を使うとか、ATCCから新規に購入するなど、ラインを変更すると分かるはずである。 3. FUT8ノックダウンによるMCF-7細胞をもう少し神経質に選別し、安定するまで、何代か継代してみると分かるはず今後は、T-47-D細胞、ZR-75-1細胞、MDHB-231細胞をそれぞれFUT8遺伝子をノックダウンさせMCF-7細胞のそれと比較しつつ、Her2/neu、ER、PRなどのシグナルとの関連を調べたいと考えている。その際は、EGFR-PAR2-trypsinの情報経路とホルモンの情報経路の影響(クロストークなど)を考慮したい。
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