2011 Fiscal Year Annual Research Report
糖転移酵素の発現をコントロールすることによる乳癌の治療法の開発研究
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21591667
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
近藤 昭宏 京都工芸繊維大学, 遺伝資源キュレーター教育研究センター, 特任教授 (60359841)
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Keywords | 乳腺外科 |
Research Abstract |
本年の研究ではEGFRに注目し、アルファ1,6-フコース残基と細胞増殖の関係を検証し実験してきた。なぜならEGFRは11か所のN-結合型糖鎖を持っているため、特にアルファ1,6-フコース残基の影響を受けやすいからである。事実、以前の研究ではFUT8遺伝子をノックダウンさせた培養細胞のEGFRには、ほとんどアルファ1,6-フコース残基が結合していないため、EGFとの結合親和性低く、シグナルが伝わりにくいのである。このオン・オフのみではないシグナルの制御は、ほとんどフコースの結合が無いEGFRのシグナルが伝わりにくいことは、本来生体でシグナルの強弱として利用されていると推察される。FUT8遺伝子をノックダウンさせた培養細胞はかなり不安定な継代状況で、癌細胞の増殖抑制効果が維持できている細胞とない現象を観察した。これは、以前の肝がん細胞や膵がん細胞とは、少し異なる状況である。この場合は、他の乳がん細胞の実験結果と比較し、MCF-7細胞の性質によるものであると分かってきた。つまり、MCF-7細胞の増殖抑制はEGFRに制御されるのみならず、エストロゲン受容体の制御によるものが影響していることが判明した。T-47-D細胞、ZR-75-1細胞、MDA-MB-231細胞も4FUT8遺伝子をノックダウンさせMC4F-7細胞のそれと比較ししたが、Her2/neuのシグナルとの関連よりエストロゲン受容体からのシグナルの制御が強いことが確認された。その際は、EGFR-PAR2-trypsinの情報経路とホルモンの情報経路の影響(クロストークなど)よりエストロゲン受容体からのシグナルの制御が直接影響していることが示唆された。
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