2011 Fiscal Year Annual Research Report
癌細胞とキラーT細胞が発現するToll様受容体の癌免疫療法への応用
Project/Area Number |
21591668
|
Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
原田 守 島根大学, 医学部, 教授 (50260716)
|
Keywords | 癌 / 免疫療法 / Toll様受容体 |
Research Abstract |
Toll様受容体(TLRs)などのアジュバント受容体は、免疫応答において重要な役割を担っているが、これらの受容体は多くの癌細胞にも発現しているにもかかわらず、この受容体を利用した癌療法の研究は少ない。平成23(最終)年度は、合成二本鎖RNAであるpoly(I:C)とヒト乳癌細胞を用いて研究を実施した。その結果、1)検討した3種類のヒト乳癌細胞株は、poly(I:C)のエンゾソーム受容体であるTLR3だけでなく細胞質内受容体であるMDA5も発現していた。2)poly(I:C)を細胞質内にtransfectした場合、すべての細胞株で、caspase依存性のapoptosisと細胞増殖関連分子であるc-MycとcyclinD1の発現低下による細胞増殖抑制(growth arrest)を認めた。3)癌治療抵抗性に関わる可能性が示唆されているautophagyの関与について検討したところ、一部の乳癌細胞株では恒常的に、また、一部の乳癌細胞株では、poly(I:C) transfection後にautophagyが誘導されていた。4)さらに、autophagy関連分子であるbeclin-1をノックダウンさせた癌細胞で検討したところ、autophagyは、poly(I:C) transfection後に誘導されるapoptosisに対して防御的に作用していた。5)ヒト乳癌細胞を移植した異種移植マウスモデルで検討したところ、poly(I:C) transfectionにより癌細胞の増殖をin vivoでも抑制できた。以上の結果は、poly(I:C) transfectionは、免疫細胞の活性化と癌細胞のアポトーシス・増殖抑制を同時に誘導できる治療法に成りうることを示唆している。
|
Research Products
(17 results)