2011 Fiscal Year Annual Research Report
HMGA1の新規機能によるエストロゲン受容体の発現制御ー新たな乳癌治療をめざすー
Project/Area Number |
21591679
|
Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
大江 賢治 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 准教授 (30419527)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内海 俊明 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (10176711)
|
Keywords | 乳癌 / エストロゲン受容体 / HMGA1a |
Research Abstract |
本研究は、HMGA1aのRNAへの配列特異的結合という新規機能が、エストロゲン受容体(ERα)の異常スプライシングを惹起するかどうか、また、そのRNA結合を阻害することにより乳癌の新たな治療の開発を目標としている。 培養細胞、in vitro実験より、HMGA1aは、ERα46というERαアイソフォームの選択的スプライシングに関与していることがわかり、HMGA1aが、Erα exon 1の5'スプライス部位上流のRNA結合部位に結合し、隣接する偽5'スプライス部位にU1 snRNPを固着してエクソン除外を惹起する詳細な機序を解明した。 当該年度は、生体内で、HMGA1aによるERαの選択的スプライシングが乳癌増殖にどのように影響するか、ヌードマウスにおいて検討した。だが、HMGA1aは転写因子としての側面があり、HMGA1aのRNA結合機能を評価するために、HMGA1aの「おとり」RNAが、ERαの選択的スプライシングに効果を示すことを利用した。HMGA1aの「おとり核移行RNA」の安定発現MCF-7乳癌細胞株をヌードマウスに移植し、移植細胞の増殖を促進する結果を得た。これは、HMGA1aの「おとり」RNAによりERα46蛋白が減少しているので、エストロゲン刺激を阻害する因子の減少は腫瘍増殖に働くという理にかなった結果である。しかし、HMGA1aという癌遺伝子産物に対する「おとり」が増殖を惹起するという点では、合致せず、HMGA1aの癌抑制遺伝子産物としての側面をとらえている。以上の結果をまとめて論文投稿予定である。 引き続き、乳癌増殖抑制アイソフォームであるERα46を惹起する「核移行small RNA」を作製中である。HMGA1aは、正常2倍体細胞では細胞老化装置の重要な構成因子であり、癌抑制的に働くことから、HMGA1aのRNA結合能と細胞老化、細胞癌化の関わりを追究している。
|
Research Products
(3 results)