2009 Fiscal Year Annual Research Report
スルフォラファンのオートファジーを介する乳癌細胞死滅機構の同定と癌治療への応用
Project/Area Number |
21591683
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
螺良 愛郎 Kansai Medical University, 医学部, 教授 (90098137)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上原 範久 関西医科大学, 医学部, 講師 (30368211)
圦 貴司 関西医科大学, 医学部, 講師 (50330212)
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Keywords | sulforaphane / Mammary / Breast / Apoptosis / Autophagy / Cell death |
Research Abstract |
アブラナ科の植物に豊富に含まれるスルフォラファン(SFN)は様々な臓器に生じる癌の増殖抑制や細胞死を誘導することが知られている。乳癌は女性が罹患する最も普遍的な癌であるが、Tamoxifenによる内分泌療法やHerceptinによる分子標的治療が無効なものも存在する。エストロゲン受容体陽性あるいは陰性ヒト乳癌細胞様であるMCF-7とMDA-MB-231細胞株に対するSFNの効果をみたところ、濃度ならびに時間依存性に増殖抑制を示し、72時間培養時の50%阻害濃度(IC_<50>)は各の33.8μMと31.5μMであり、細胞死も観察された。2細胞株のうちより高悪性が示唆され、内分泌療法や分子標的治療がみこめない。MDA-MB-231細胞株に30μMのSFNを作用させたところ、S期とG2/M期での細胞周期停止を認め、p21^<CIP1/WAF1>とp27^<KIP1>の上昇とCyclin A, Cyclin B1とCdc2値の減少をみた。細胞死はCaspase-3の上昇とBcl-2値の減少によるアポトーシスであったが、オートファゴソームの形成、acidic vesicular organellesの出現やLC3の発現増強で特徴づけられるオートファジーがみられた。オートファジーは生存に働く場合と細胞死を来す場合がある。そこで、オートファジー阻害剤であるBafilomycin AlをSFNとともに作用させたところ、Baxの発現増強、Caspase-3やPARP-1の開裂、ミトコンドリア膜電位の低下によるアポトーシスの有意の増強による生細胞の減少をみた。よって、SFNによって引き起こされるアポトーシスはオートファジーの阻害により増強されることが判明したので、SFNにオートファジー阻害剤を併用すれば新たな乳癌治療として有望と考える。
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