2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規分化誘導剤とラパマイシンによる固形癌細胞の増殖抑制効果の分子機構解析
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21591686
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Research Institution | Research Institute for Clinical Oncology, Saitama Cancer Center |
Principal Investigator |
粕壁 隆 埼玉県立がんセンター, 臨床腫瘍研究所, 主幹 (50152658)
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Keywords | Cotylenin A / Rapamycin / 三酸化ヒ素 / 分化誘導剤 / アポトーシス / 卵巣癌細胞 / 併用効果 / mTOR |
Research Abstract |
私たちは白血病細胞の分化誘導剤として見出してきた物質が固形癌細胞に対しても有効な抗癌作用を示すことができるかどうかを検討している。私たちはすでに、植物成長制御因子として報告されているcotylenin AおよびmTOR(mammalian target of rapamycin)阻害剤であるrapamycinが白血病細胞に対する強い分化誘導剤であることを報告している。これまでに、これらcotylenin Aとrapamycinの併用処理がヒト乳癌細胞MCF-7および肺癌細胞A549の増殖を相乗的に抑制することを見出している。今回は、さらにrapamycinと他の分化誘導剤との併用効果を種々の固形癌細胞を用いてスクリーニングした結果、前骨髄球性白血病(APL)細胞に対し低濃度では分化誘導活性を示し高濃度ではアポトーシス誘導活性を示す三酸化ヒ素(arsenic trioxide,ATO)とrapamycinは相乗的にヒト卵巣癌細胞の増殖を阻害することを見出した。 低濃度rapamycinとAPLの治療に用いられる濃度以下のATOを卵巣癌細胞OVCAR-8に併用処理すると、増殖は2日目以降ほぼ完全に停止し、一部細胞は死滅した。このrapamycinとATOの顕著な併用効果は他の卵巣癌細胞でも見られた。さらに、このようなrapamycinとATOの併用効果はシスプラチン耐性卵巣癌細胞でも見られた。Apoptosis arrayを用いて検討した結果、これらの併用処理によってDR5/TRAIL R2の発現が強く誘導され、逆にsurvivinの発現は顕著に低下していることを明らかにした。
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