2009 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍活性化線維芽細胞(CAF)の機能解析と乳癌ホルモン療法反応性
Project/Area Number |
21591687
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Research Institution | Research Institute for Clinical Oncology, Saitama Cancer Center |
Principal Investigator |
山口 ゆり Research Institute for Clinical Oncology, Saitama Cancer Center, 臨床腫瘍研究所, 主任研究員 (80166628)
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Keywords | 癌 / 細胞・組織 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
近年、腫瘍周辺の間質線維芽細胞CAF(carcinoma-associated fibroblast)が癌細胞の増殖に大きく影響することが報告されているが、閉経後乳癌においてアロマターゼを発現し、局所でエストロゲンを供給するCAFとの関連性は不明である。個々の症例におけるCAFの特性を解析するため、CAFのER活性化能とアロマターゼの発現量との相関を検討した。CAFのER活性化能はGFPの発現でエストロゲンシグナを示すレポーター乳癌細胞株と共培養により定量し、アロマターゼの発現はリアルタイムPCRで測定した。その結果、両者には相関は認められず、エストロゲン産生を介さずにERを活性化するCAFの存在が示唆された。増殖因子の産生によるリン酸化を介したERの活性化の関与が考えられる。また、xenograftの系で乳癌細胞の増殖を促進するCAFは筋線維芽細胞のマーカーとして知られているalpha-SMA(alpha-smooth muscle actin)を発現していることが報告されている。CAFのER活性化能と、リアルタイムPCRで検出したalpha-SMA遺伝子の発現との関連性を解析したが両者に相関は認められなかった。以上の結果から乳癌の増殖進展に関与するCAFは均一ではなく、多様性があることが示唆された。CAFの解析で認められた微小環境の多様性は乳癌組織の抽出液によるエストロゲン非依存性、ER非依存性の増殖促進作用においても同様であり、症例によって大きく異なることを見出している。その一部には抗体による解析からhepatocyte growth factor(HGF)が関与すること、また、受容体の阻害剤による解析からinsulin-like growth factor-1(IGF-1)も関与することを見出した。次年度は、短期術前ホルモン療法の治療効果におけるCAFの機能解析を実施する。
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