2010 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍活性化線維芽細胞(CAF)の機能解析と乳癌ホルモン療法反応性
Project/Area Number |
21591687
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Research Institution | Research Institute for Clinical Oncology, Saitama Cancer Center |
Principal Investigator |
山口 ゆり 埼玉県立がんセンター, 主任研究員 (80166628)
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Keywords | 癌 / 細胞・組織 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
乳癌の微小環境においてアロマターゼの発現によりエストロゲンを供給する間質線維芽細胞CAF(Carcinoma-associated fibroblast)は乳癌の進展に大きく影響する。CAFの機能が症例によって異なり個性があることを報告してきたが、今年度は、その意義を検討するため、CAFを標的とするアロマターゼ阻害剤Exemestaneの治療効果とCAFのER活性化能およびエストロゲン受容体(ER)活性との関連性をExemestaneの短期術前治療の前後で針生検を対象として解析した。閉経前の症例についてはExemestaneとLH-RHアゴニストを併用した。CAFのER活性化能とER活性の解析にはERE-GFPを用いて独自に開発したアッセイシステムを用いた。50例を解析した結果、治療によりER活性が低下した症例が11例(22%)、逆に増加した症例が9例(18%)あった。また、治療前に低いER活性を示し、治療後も低く変化が認められなかった症例が20例(40%)、初めに高いER活性が認められ、治療後も高かった症例は10例(20%)であった。アロマターゼ阻害剤は血中および組織内のエストロゲンレベルを低下させるにもかかわらず、治療後も高いER活性を認める症例が多いことが判明した。CAFについては、CAFの培養が可能であった22例について解析した結果、治療によりER活性が低下した症例におけるCAFのER活性化能はその他のグループに比較して低い傾向にあることがわかった。治療効果との相関は、閉経後乳癌で治療後に低いER活性を示した症例では病理学治療効果の高い症例があることがわかった。症例数を増やしてさらに検討する。CAFが誘導するエストロゲン応答遺伝子の解析も継続中である。
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