2011 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光化リポソームを用いたダブルイメージングによるセンチネルリンパ節診断法の開発
Project/Area Number |
21591693
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
林 秀樹 千葉大学, フロンティアメディカル工学研究開発センター, 教授 (20312960)
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Keywords | 癌 / 外科 / センチネルリンパ節 / 色素 / 分光解析 |
Research Abstract |
本研究においては,異なる検査モダリティ(蛍光観察とX線CT)により同時に認識可能で,消化管悪性腫瘍におけるセンチネルリンパ節ナビゲーションをより効率的・低侵襲に施行可能にする新しいトレーサーの開発を目的とした. 昨年度までに開発した水に不溶性のインドシアニングリーン(ICG)誘導体を利用した蛍光化リポソームにX線造影剤を内包し,実際に蛍光観察とX線CTの両者で検出可能なトレーサーの作成が可能であることを確認した. マウスモデルを用い,長時間経過後にも一次リンパ節にのみ滞留するリポソームの至適粒径を検討したところ,平均粒径600nm程度のものが消化管悪性腫瘍に対するセンチネルリンパ節ナビゲーションに至適と考えられた.そこで,平均粒径600nmに調整したデュアルイメージングトレーサーをマウスの足底に投与し,一次リンパ節の観察を行ったところ,蛍光は検出できたもののX線CTによる検出はできなかった.リンパ節の組織学的解析では,トレーサーはリンパ節の辺縁洞にのみ集積し,集積トレーサーの絶対量が不足したものと考えられた. この問題を解決するためにはトレーサーにより小さな粒径で一次リンパ節内に滞留する特性を賦与する必要があるものと考えられたが,研究期間内にこれを明らかにすることは難しいと判断,本研究で得られたデュアルイメージングプローブを高分子増粘剤に内包することにより,低拡散性の組織マーカーとして利用する着想を得た. 全身麻酔下の家畜ブタの胃粘膜下に内視鏡を用いてこのデュアルイメージングマーカーを投与したところ,18時間後にも拡散することなく,蛍光及びX線CTの両者で投与ポイントの検出が可能であった.単一のマーカーで消化器癌手術前の術式シミュレーションから術中の手術ナビゲーションを同時に可能にする画期的なものと考えられた.
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