2011 Fiscal Year Annual Research Report
食道癌化学療法耐性における骨髄由来細胞の機能解明とそれを標的とした治療開発
Project/Area Number |
21591698
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮田 博志 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (80362713)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土岐 祐一郎 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20291445)
瀧口 修司 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (00301268)
山崎 誠 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (50444518)
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Keywords | 食道癌 / 骨髄由来細胞 / 化学療法 / 腫瘍間質 / 微小環境 |
Research Abstract |
骨髄由来細胞の一つの候補として腫瘍間質に浸潤するマクロファージに着目し、食道癌組織での免疫染色とマウスモデルを用いた検討を行った。 1.食道癌組織におけるM1マクロファージとM2マクロファージの免疫染色 食道癌切除標本(術前治療なし114例、術前化学療法施行108例)を用いて、CD68(M1+M2マクロファージ)、とCD163(M2マクロファージ)の免疫染色を施行した。術前治療なし症例と化学療法施行症を比較すると、腫瘍間質のM1マクロファージの発現には差がなかったが、腫瘍間質のM2マクロファージ発現は化学療法施行例で有意に増加していた。また腫瘍間質のM2マクロファージの高発現例では化学療法の臨床効果・組織学的効果がM2マクロファージ低発現例に比べていずれも低かった。一方、M1マクロファージの発現と化学療法効果との間に関連は見られなかった。術前化学療法施行例の予後は腫瘍間質M2マクロファージの高発現例で有意に予後不良であった。以上の結果より、食道癌化学療法において、腫瘍間質に浸潤するM2マクロファージが化学療法耐性に関与する可能性が示唆された。 2.マウスモデルでの化学療法施行例における腫瘍間質マクロファージの解析 ヌードマウスに食道癌細胞株(TE3、TE8)を皮下移植したxenograftモデルを作成した後、マウスの腹腔内にシスプラチンを投与し、皮下腫瘍の間質に誘導されるマクロファージを免疫組織学的に検討した。CD11bとF4/80の抗体を用いて蛍光免疫染色を行ったところ、シスプラチン投与したマウスではコントロールマウス(生食投与)に比べて、皮下腫瘍周囲に浸潤するCD11b陽性細胞とF4/80陽性細胞が多かった。このことから、マウスモデルでシスプラチン投与により、腫瘍間質にマクロファージが動員されることが確認できた。
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