2009 Fiscal Year Annual Research Report
HSP90阻害剤とヘパラナーゼ核内移行検出システムを応用した新規分子標的治療法
Project/Area Number |
21591700
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山辻 知樹 Okayama University, 大学病院, 助教 (40379730)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猶本 良夫 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (00237190)
深澤 拓也 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (20379845)
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Keywords | HSP90 / ヘパラナーゼ / 核内移行 |
Research Abstract |
本研究は、癌細胞の転移・浸潤および分化を直接制御しているヘパラナーゼの核内移行システムに新規HSP90阻害剤AUY922を導入することにより、癌の悪性度と細胞の分化を直接制御し得る新しい分子標的治療法の開発を目指すものである。 1. 培養癌細胞に対するAUY922の増殖抑制効果 ヒト食道扁平上皮癌TE-1,TE-4,TE-8,TE-10、胃癌細胞NUGC3にAUY922を加え、その細胞増殖に対する効果を検討した。各培養細胞にAUY922を5×10-4μMから5μHまでの濃度で加え、24-48時間培養し、細胞増殖曲線を得た。全ての培養細胞において、5×10-2μMのAUY922で60-80%の増殖抑制効果がみられた。 2. AUY922による細胞増殖抑制効果の分子生物学的機構 0.1μMのAUY922で0.5から24時間刺激したTE-1とTE-8を回収し、Western Blotting法により各種タンパク質の発現を検索。抗HSP90抗体にてHSP90の発現を確認したところ、いずれの刺激時間においても、その発現に変化を認めず。Aktおよびリン酸化Akt抗体を用いて増殖シグナルに対する影響を調べたところ、TE-1では6時間以降、TE-8では12時間以降でリン酸化Aktの抑制を認めた。 3. HSP90のヘパラナーゼ核内移行に対する影響の確認 ヘパラナーゼの核内移行とHSP90の関係を確かめるため、用いた癌細胞から抗HSP90抗体を用いて免疫沈降法を行ったところ、HSP90とヘパラナーゼが複合体を形成していることがわかった。HSP90がヘパラナーゼの核内移行に強く関与していることが示された。 以上の研究成果をもとに、今後はヘパラナーゼ核内移行検出システムを用いて、AUY922によるヘパラナーゼおよびHSP90の細胞内動態に対する影響を検索する。
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Research Products
(1 results)