2010 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性腸疾患に対する炭酸ガス送気消化管内視鏡の安全性と有用性の検討
Project/Area Number |
21591724
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中島 清一 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (30432537)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水島 恒和 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (00527707)
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Keywords | 消化器内視鏡 / 炭酸ガス / 炎症性腸疾患 / クローン病 / 潰瘍性大腸炎 |
Research Abstract |
平成21年度計画で実施した実用性および安全性の検証結果を受け、平成22年度は課題III「炎症性腸疾患に対するエア送気vs.炭酸ガス送気消化管内視鏡検査の比較試験」を開始した。 1. クローン病患者9名(うち術後症例5例)、潰瘍性大腸炎患者8名(うち術後症例8例)を無作為にエア送気群と炭酸ガス送気群に割り当てた。両群とも検査中は心電計を装着し、経皮炭酸ガス分圧計(TOSCA 500ラジオメータ・バーゼル社)を用いて呼気終末炭酸ガス分圧を連続的に記録した。エア送気群では現行のエアコンプレッサーを用い、炭酸ガス送気群では専用送気装置(UCR、オリンパスメディカルシステムズ)を使用した。うち5例は全身麻酔下に施行した(術直前の評価目的)。 2. 施行した内視鏡は、全大腸内視鏡(total colonoscopy)9例、残存直腸内視鏡(proctoscopy)6例、回腸嚢内視鏡(pouchoscopy)2例であった。 3. 内視鏡施行時間は平均11分で、全例検査目的を達成し得た。検査中の高炭酸ガス血症を含む有害事象は認めなかった。生検を行った症例においても、生検部位からの異常出血等を認めなかった。 4. 内視鏡検査中1分毎に連続撮影したスチル写真を無作為に並び替え、blinded reviewerによる検証を行ったが、炭酸ガス気群エア送気群との間に粘膜所見の差を認めなかった。VAS scoreのでは、炭酸ガス群において、検査終了後1時間、6時間目での腹部膨満感、腹痛がエア送気群に比して少ない傾向が見られたが統計学的有意差には至らなかった。検査1週間後、1ヶ月後の病勢活動性スコアには両群間で差を認めなかった。 今後はさらに症例を集積し、炎症性腸疾患に対する炭酸ガス送気内視鏡の有用性を検証していく方針である。
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Research Products
(7 results)