2010 Fiscal Year Annual Research Report
宿主遺伝子多型と腫瘍遺伝子変異による大腸癌化学療法の効果・毒性予測
Project/Area Number |
21591725
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
硲 彰一 山口大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (50253159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡山 直子 山口大学, 医学部附属病院, 副臨床・衛生検査技師長 (40420541)
坂本 和彦 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (50420526)
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Keywords | イリノテカン / UGT1A1 / cetuximab / KRAS / BRAF / P13K / EGFR |
Research Abstract |
1.レトロスペクティブなFOLFIRI療法の効果・毒性と遺伝子多型の関連性の再検討。 5'-DFUR+irinotecanの推奨投与量は、UGT1A1*28を持つ場合は70mg/m2(biweekly)、wild typeでは150mg/m2であるとの結果に基づき、第II相試験を進めた。第II相試験からは、*28保有症例に対する70mg/m2と、wild typeに対する150mg/m2とでは、毒性と抗腫瘍効果に大差がないことが分かった。さらにirinotecanの毒性には*28以外にも、UGT1A1*6,1A7*3,1A9*22等が関与しており、*6,*3,*22の何れも持たない症例ではGrade3以上の毒性を全く認めていなかった。次いで行ったFOLFIRI療法73例の解析においても、先の第11相試験の結果と同様に、irinotecanの毒性にはUGT1A1*6,1A7*3,1A9*22が強く関与していることが示された。独立した二つの臨床試験の結果が一致したことで、「UGT1A1*6,1A7*3,1A9*22の遺伝子型は毒性の予測因子である」ことは確からしい。 一方、抗腫瘍効果に関しては遺伝子多型で予測できるとする報告はほとんど無い。今回の解析でも、個々の遺伝子多型では効果を予測することは出来なかった。そこで新しく開発したGenotype subset selection(遺伝子型選択)法を用い、坑腫瘍効果の予測を試みたところ、奏効するとして選択した12例中8例が奏効し、効果なしとして選択した15例中13例で効果がなかった。今後さらに精度を上げ、検証も加えて新しい効果予測システムを構築したい。 2.プロスペクティブなFOLFIRI+Cetuximab併用療法の効果・毒性と腫瘍の遺伝子変異と宿主の遺伝子多型の関連性の検討。 切除不能大腸癌に対する2次治療として、FOLFIRI+Cetuximab併用療法の臨床試験に仮登録された113例のうち、CD12変異は37例、CD13変異は8例であった。この結果、113例中68例(60.2%)がwild typeと判断され、61例が本登録された。CD12, CD13に関してはminor mutationは含まれていなかった。また、EGFR染色は弱陽性を含めて109例(96.5%)で陽性であり、検体保存の良好性が伺えた。しかしながら、その後に行なった連結不能解析によると、CD60に1例、CD61に3例、BRAF(CD600)に3例、PI3Kに2例の変異を認め、都合9例に変異が認められた。奏効率は60例では31.7%であったが、CD12,13以外に変異を認めた症例では奏効例は認められず、特にBRAF変異例では全例がPDであった。一方、変異の無かった症例の奏効率は37.2%であり、第2次治療としては極めて有効率が高いものと思われた。
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