2011 Fiscal Year Annual Research Report
宿主遺伝子多型と腫瘍遺伝子変異による大腸癌化学療法の効果・毒性予測
Project/Area Number |
21591725
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
硲 彰一 山口大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (50253159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡山 直子 山口大学, 医学部附属病院, 副臨床・衛生検査技師長 (40420541)
坂本 和彦 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (50420526)
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Keywords | Irinotecan / UGT1As / Cetuximab / KRAS / BRAF / PI3K |
Research Abstract |
1.レトロスペクティブなFOLFIRI療法の効果・毒性と遺伝子多型の関連性の再検討。 5'-DFUR+irinotecan第II相試験から、*28症例に対する70mg/m2と、wild typeに対する150mg/m2とで毒性と抗腫瘍効果に大差がなかった。irinotecan毒性には*28以外にUGT1A1*6, 1A7*3, 1A9*22が関与しており、何れも持たない症例ではGrade3以上の毒性を認めなかった。次にFOLFIRI療法73例の解析においても同様にUGT1A1*6, 1A7*3, 1A9*22が関与していた。「UGT1A1*6, 1A7*3, 1A9*22の遺伝子型は毒性の予測因子である」ことは確からしい。その他の遺伝子多型と毒性の間には関連性を認め無かった。 一方、抗腫瘍効果は遺伝子多型で予測できるとする報告はほとんど無い。今回の解析でも、個々の遺伝子多型では効果を予測することは出来なかった。新しく開発したGenotype subset selection(遺伝子型選択)法を用い、奏効するとして選択した12例中8例が奏効し、効果なしとして選択した15例中13例で効果がないことが予測できた。 2.プロスペクティブなFOLFIRI + Cetuximab併用療法の効果・毒性と腫瘍の遺伝子変異と宿主の遺伝子多型の関連性の検討。 2次治療としてFOLFIRI + Cetuximab療法の臨床試験では113例中68例(60.2%)がKRAS wild typeで、61例が本登録された。CD60に1例、CD61に3例、BRAF(CD600)に3例、PI3Kに2例の変異を認め、都合9例に変異が認められた。奏効率は60例では31.7%であったが、変異を認めた症例では奏効例はなく、BRAF変異例では全例PDであった。一方、変異の無かった症例の奏効率は37.2%であった。EGFRならびにFcgR遺伝子多型と腫瘍縮小効果には相関を認め無かった。現在予後との関連を検討中である。 本試験ではFOLFIRI毒性とUGT1As多型に関連性が無かった。*28*6ホモ患者でイリノテカン投与量を100mg/m2に減量し、検索した多型間に連鎖不平衡を認めたためと考える。UGT1As多型と効果の間にも相関は無かった。
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