2011 Fiscal Year Annual Research Report
完全静脈栄養下における腸管免疫異常に対するグレリンの効果
Project/Area Number |
21591727
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
佛坂 正幸 宮崎大学, 医学部, 講師 (10294935)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千々岩 一男 宮崎大学, 医学部, 教授 (90179945)
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Keywords | 炎症性腸疾患 / 腸管免疫 / CD4陽性T細胞 / IL-10 / クローン病 / 狭窄形成術 / 術後再発 |
Research Abstract |
検討(1):基礎的検討 【目的】炎症性腸疾患患者より摘出した検体を用いて粘膜固有層(LP)に存在するCD4陽性T細胞(CD4+Tcell)の、IL-10産生についての検討を行った。【方法】当科で切除手術を行った潰瘍性大腸炎患者(UC)9名とクローン病患者(CD)7名の病変部腸管、大腸癌患者(NC)8名の正常部腸管の切除標本から、magnetic cell sorting procedure(MACS)を用いてLP(lamina propria)CD4+Tcellを分離し、IL-10 mRNAの発現をリアルタイムPCR法で解析した。また、抗CD3抗体、抗CD28抗体でLPCD4+Tcellを刺激しサイトカイン産生量をELISA法で解析した。【結果】IL-10mRNAの発現はNC群に比較しUC群で有意に高かった。一方で、IL-10の産生量はCD群、NC群に比較しUC群で有意に低かった。【結論】炎症性腸疾患の病態にIL-10産生能が関わる可能性が示唆された。この結果は、2011年10月20日に開かれた第53回日本消化器病学会大会で発表した。 検討(2):臨床的検討 【目的】再発クローン病において、切除吻合術と狭窄形成術の術後再発形態の違いについて検討した。【対象】クローン病腸管病変術後に再手術を行なう時に術中内視鏡検査を併用して再発形式が確認できた既往術式が明らかな41例を対象とした。【成績】再発した狭窄形成部12ヵ所のうち前回狭窄病変は11ヵ所であり、狭窄病変10ヵ所、穿通病変1ヵ所として再発し、前回穿通病変の1ヵ所は、狭窄病変として再発した。再発した39ヵ所の切除吻合部のうち21ヵ所は前回狭窄病変で狭窄病変20ヵ所、穿通病変1ヵ所として再発したのに対し、前回17ヵ所の穿通病変は狭窄病変7ヵ所、穿通病変10ヵ所として再発し、狭窄、穿通病変間で再発形態に有意差(p<0.001)がみられた。前回狭窄病変であった部位をみた場合、狭窄形成と切除吻合で再発形態に差はなかった。【結論】クローン病における狭窄形成術は狭窄病変に頻用され、病変を残す手術ではあるが、再発時に重篤な穿通病変(膿瘍や瘻孔形成など)をきたす可能性は低いと思われた。この結果は英文論文にまとめ、現在投稿中である。
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