2010 Fiscal Year Annual Research Report
直腸癌の側方リンパ節転移のホップ遺伝子メチル化による検出と予測に関する検討
Project/Area Number |
21591732
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
中村 隆俊 北里大学, 医学部, 講師 (10286304)
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Keywords | 直腸癌 / HOPX / メチル化 / 側方リンパ節転移 / 予後 / 微量癌細胞 |
Research Abstract |
癌抑制遺伝子HOPXはメチル化癌抑制遺伝子としてわれわれが独自に同定した遺伝子であり、これまでに食道癌、胃癌においてメチル化が起こっていることを証明してきた。今回、大腸癌におけるメチル化レベルを測定しその臨床応用への可能性を探っている。99例の大腸癌組織からDNAを抽出しバイサルファイト処理をしメチル化特異的配列を確認する方法として直接シークエンスおよび定量的MSPを施行した。その結果、大腸癌の約半数の症例でメチル化を認めるのに対して、正常粘膜では1例もメチル化を認めなかった。このことから、HOPXメチル化の検出は微量癌細胞の診断に有用である可能性を示している。臨床病理学的特徴をさらに明らかにするためstage III大腸癌170例におけるHOPXメチル化を調べたところ、stage IIIA,stage IIIBそれぞれで予後と相関することが明らかになった。また、大腸癌株化細胞HCT116,DLD-1に対してHOPX遺伝子導入株を用いて表現型の変化を解析したところ、増殖能、細胞周期、腫瘤造性能、浸潤能、血管新生能、アポトーシスいずのにおいて強い差を認めHOPXが癌転移を抑制する機能性タンパクであることが確認された。以上の結果からHOPXのメチル化クローンは高悪性度クローンの特徴を有することが明らかになりしたがって、微量癌細胞診断においてツールとして使用できる可能性が示唆された。今後は、側方リンパ節におけるHOPXメチル化クローンの存在を検出できた症例とそうでない症例で再発などに差がないか臨床的検討を加えたい。
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