2011 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌における癌幹細胞様遊離癌細胞検出による再発予測診断と臨床応用
Project/Area Number |
21591734
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
飯沼 久恵 帝京大学, 医学部, 講師 (30147102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 聡明 帝京大学, 医学部, 教授 (80210920)
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Keywords | 大腸癌 / 転移予測 / 予後予測 / 遺伝子診断 |
Research Abstract |
大腸癌症例における、循環癌細胞(Circulating tumor cell:CTC)は、血行性転移および予後予測のバイオマーカーとして注目されている。我々はこれまで、CTCの遺伝子マーカーとして、CEA mRNAやサイトケラチン(CK19,CK20)mRNAといった従来のマーカーに癌幹様細胞マーカーCD133 mRNAを加え、癌の再発および予後予測因子としての有用性を、training setを用いて明らかにしてきた。本年度はさらにvalidation setを用いて、これまでの結果の再現性をKaplanMeier生存曲線およびCox比例ハザードモデルで解析した。その結果、training setでの検討と同様に、CTC陽性症例は陰性症例に比べて、有意に予後不良であることが明らかとなった。さらに、stage別の検討において、Dukes'stage BおよびDukes'stage C症例で、CEA/CK19/CK20 /CD133 mRNAは独立した再発および予後予測因子となることが証明された。Dukes'stage B症例における補助化学療法は、標準的治療法として十分なエビデンスを得ていないことから、このような再発高危険群選択のバイオマーカーは有用と考えられた。また、Dukes'stage B症例において、CD133単独およびCEA/CK19/CK20ではその有用性は得られず、癌幹細胞を含めたmultimarkerによる検討の重要性が明らかとなった。さらに、大腸癌原発巣のdrainage veinの腫瘍還流血を用いて、血中CTCの有用性を検討したところ、末梢血と同様にDukes'stage B,Dukes'stage Cの再発予測および予後予測因子となることが証明された。このように、癌原発巣からdrainage veinを経て末梢血中に流入したCTCは、還流血とほぼ同じ機能を維持し、再発および予後に関与している可能性が示唆された。次に、大腸癌腹腔洗浄液中遊離癌細胞(ICT)の、腹膜再発予測因子としての有用性を、CEA,CK19,CK20,CD133 mRNAによるmultimarkerを用いて検討した。その結果、このmutimarkerは、独立した腹膜再発および予後予測因子となることが明らかとなった。また、CTCの化学療法剤による治療効果早期診断のバイオマーカーとしての有用性を検討した。化学療法剤として、FOLFOX6とFOLFILIを使用した。CTCは、CEA/CK19/CK20/CD133 mRNAによるmultimarkerにより測定し、治療効果は評価可能病変をRECISTにより判定した。その結果、治療前の末梢血中CTC高値群は、低値群に比べて有意に予後不良であることが明らかとなった。CEA/CK19/CK20/CD133 mRNAによる血中CTCは、独立した再発予測・予後予測および治療効果予測のバイオマーカーとして有用であることが明らかとなった。
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Research Products
(36 results)