2010 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌における低酸素誘導ゲノム不安定性の分子機構の解明
Project/Area Number |
21591736
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
逸見 仁道 東邦大学, 医学部, 准教授 (90165514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渋谷 和俊 東邦大学, 医学部, 教授 (20196447)
有田 通恒 東邦大学, 医学部, 助教 (80307719)
小池 淳一 東邦大学, 医学部, 講師 (30339155)
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Keywords | 遺伝子 / 大腸がん / ゲノム不安定性 / EMAST / 発現制御 / 低酸素 / DNA修復 |
Research Abstract |
低酸素状態でのゲノム不安定性誘導の分子機構を明らかにすることを目的として、細胞株を用いた一過性の低酸素状態でのDNAミスマッチ修復遺伝子MSH3の発現制御の分子機構の解析を中心に行った。 1、 低酸素によるMSH3発現抑制 大腸がん由来樹立細胞株を含むヒト腫瘍由来細胞株13株について、MSH3発現抑制パターンを検討したところ、3つのパターンが観察された。(1)発現抑制がプラトーに達するのに6日間程度必要とする緩慢な細胞株。(2)2-3日程度で抑制される迅速な細胞株 (3)全く抑制が見られない細胞株。緩慢なパターンを示す細胞株に共通しているのはp53変異株であり、p53強制発現プラスミドの導入により、抑制速度が早まることから、p53分子が何らかの関与していることが示唆された。一方、抑制が見られない細胞株は全て、p53野生型であり、何らかのp53機能抑制機構を獲得した腫瘍細胞であると考えられた。転写抑制へのHIF-1αの関与を検討したところ、初期段階にのみ関与し、発現抑制を示す両者のパターンに共にプロモーター領域に存在するHREを介した抑制が引き起こされていることが明らかとなった。 2、 EMAST腫瘍発生機構の検討 EMAST発生の原因としてMSH3遺伝子の発現抑制が挙げられている。上記解析の結果から、EMAST腫瘍の特徴としてp53変異細胞で起こることが考えられ、現在、p53変異細胞株を中心に、低酸素-再酸素供給により、EMASTを含むゲノム不安定性が誘導されるかどうかを検討中である。
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Research Products
(3 results)