2011 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌化学療法ー血管新生阻害剤に対するバイオマーカー
Project/Area Number |
21591741
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Research Institution | 公益財団法人がん研究会 |
Principal Investigator |
松阪 諭 公益財団法人がん研究会, がん化学療法センター・臨床部, 研究員 (00372665)
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Keywords | bevacizumab / CEC / CXCR4 / CTC |
Research Abstract |
末梢循環血中癌細胞(Circulating tumor cells)は、化学療法薬の効果予測および予後因子として有用であることが報告されている。進行大腸癌に対する化学療法において、CohenらはCTCのcut-off値が3として、治療効果予測および予後因子になることを最初に報告したが、日本人においてもFOLFOX+bevacizumab療法初回投与後のCTC値が3未満の症例は、3以上の症例に比べPFSおよびOSともに有意に延長し、化学療法の効果予測が可能であり、CTCは人種差なく治療効果予測因子であることが明らかにした。Bevacizumabはこれまでの薬剤と作用機序が異なり、標的細胞は血管内皮細胞である。Bevacizumabは単剤での有効性は示されず、化学療法薬との併用による上乗せ効果を認めることより、化学療法薬との併用投与のため、bevacizumabの効果予測因子の探索は非常に困難とされている。CTCはbevacizumab併用化学療法の効果予測因子として有効であることが報告された。しかしFOLFOXにおいても、FOLFOX+bevacizumabにおいても、CTCが3以上の症例は治療効果を認めない事は明らかであるが、bevacizumab自体の治療効果の予測は不可能である。すなわち1stlineにおける化学療法薬+bevacizumabが耐性になった場合、2^<nd>lineとして新たな化学療法薬にbevacizumabを併用すべきかどうかは予測不能である。本研究では、末梢血中血管内皮細胞(Circulating endothelial cell:CEC)および血管内皮前駆細胞(Circulating endothelial progenitor:CEP)に注目した。 本研究では、Bevacizumab併用療法において、治療開始前のCEC値が低値症例は、高値症例に比べPFSおよびOSが有意に延長する事を明らかにした。また、高値症例はFOLFOX症例群のPFSとほぼ同じであり、Bevacizumabを併用するbenefitを認めない事が示唆された。さらにbevacizumab治療開始前のCXCR4陽性CEC値が、bevacizumabの治療効果予測因子であることを報告した。PD症例はnon-PD症例に比べ有意に治療開始前のCXCR4陽性CECが高値であること、治療開始前のCXCR4陽性CEC値が低値症例は、高値症例に比べPFSおよびOSが有意に延長する事を明らかにした。
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