2010 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞癌の発生・進展におけるマイクロRNAの分子機能解析と治療への応用
Project/Area Number |
21591754
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
杉町 圭史 九州大学, 大学病院, 特任助教 (90452763)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前原 喜彦 九州大学, 医学研究院, 教授 (80165662)
武冨 紹信 九州大学, 大学病院, 助教 (70363364)
池上 徹 九州大学, 大学病院, 特任助教 (80432938)
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Keywords | 肝細胞癌 / マイクロRNA / C型肝炎 / リアルタイムPCR法 |
Research Abstract |
肝細胞癌生体肝移植症例におけるマイクロRNA発現の網羅的プロファイリングと個別発現解析 「マイクロRNAは肝細胞癌の発生・進展に重要な役割を果たしている」という仮説を証明するために、まず肝細胞癌におけるマイクロRNA発現を網羅的に解析した。マイクロRNAマイクロアレイを用いてマイクロRNAの発現プロファイリングを行った結果、肝細胞癌組織において非癌部肝組織に比べて高発現するmiR-18a、逆に低発現するmiR-199a-3pという二つの分子を同定できた。次に、少ない組織から高感度にマイクロRNAを正確に定量できるリアルタイムPCR法を確立した。肝細胞癌臨床検体を用いて肝癌組織および非癌部肝組織よりそれぞれRNAを抽出し、miR-18aおよびmiR-199a-3pの個別発現解析を行ったところ、miR-18aは癌部で有意に高発現しており、逆にmiR-199aは癌部で有意に発現が低下していることが判明した。そのため、この二つのマイクロRNA分子の臨床的意義について検討を行った。miR-18a高発現群では腫瘍マーカー(AFP,PIVKA-II)が有意に高く、腫瘍径が有意に大きいことが分かった。逆にmiR-199a高発現群は腫瘍マーカーが低く、腫瘍血管浸潤が少ないことが分かった。このようにmiRが肝細胞癌の生物学的悪性度に関連していることが分かったため、次に手術後の肝癌再発率を検討したところ、miR-18a高発現群とmiR-199a低発現群はそれぞれ有意に手術後の再発が多いことが分かった。以上の結果より、miR-18aおよびmiR-199aの腫瘍における発現は肝細胞癌の生物学的特性に重要な役割を果たしていることが示唆された。 今後はmiR-18aおよびmiR-199a分子の肝癌における機能を解析するためにin vitroの実験にて、anti-miRや合成miRを導入してその機能解析を進めていく予定である。
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