2011 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞癌の発生・進展におけるマイクロRNAの分子機能解析と治療への応用
Project/Area Number |
21591754
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
杉町 圭史 九州大学, 大学病院, 特任助教 (90452763)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前原 喜彦 九州大学, 医学研究院, 教授 (80165662)
武冨 紹信 九州大学, 大学病院, 講師 (70363364)
池上 徹 九州大学, 大学病院, 助教 (80432938)
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Keywords | 肝細胞癌 / マイクロRNA / 肝移植 / リアルタイムPCR法 |
Research Abstract |
「マイクロRNAは肝細胞癌の発生・進展に重要な役割を果たしている」という仮説を証明するために、まず肝細胞癌におけるマイクロRNA発現をマイクロRNAマイクロアレイを用いて発現プロファイリングを行った結果、肝細胞癌組織において高発現するmiR-18a、逆に低発現するmiR-199a-3pという二つの分子を同定できた。次に、肝細胞癌臨床検体を用いてRNAを抽出し、miR-18aおよびmiR-199a-3pの個別発現解析を行ったところ、miR-18aは癌部で有意に高発現しており、逆にmiR-199aは癌部で有意に発現が低下していることが判明した。miR-18a高発現群では腫瘍マーカー(AFP,PIVKA-II)が有意に高く、腫瘍径が有意に大きいこと、逆にmiR-199a高発現群は腫瘍マーカーが低く、腫瘍血管浸潤が少ないことが分かった。手術後の肝癌再発率を検討したところ、miR-18a高発現群とmiR-199a低発現群はそれぞれ有意に手術後の再発が多いことが分かった。 次に、in vitroの系にてmiR-18a、mR-199a-3pの機能解析を行った。オンラインデータベースにてmiR-18aの標的遺伝子TNFAIP3(TNFα刺激により誘導され、NFκBを抑制するタンパク)、miR-199a-3pの標的遺伝子HIF1R、cdc42(Rhoのsubfamily。細胞周期の進行、アクチンの形成に関わる)を同定した。ベクターにmiR遺伝子を導入しluciferase assayにて標的遺伝子の発現が抑えれらることを確認した。次にWestern blotting法にてmiR-18a、miR199aを肝細胞癌細胞へ導入することによって標的遺伝子の蛋白合成が実際に抑制されることを確認した。このようにmiRが標的遺伝子の機能抑制において肝細胞癌の進展に重要な役割を果たしていることが分かった。
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