2011 Fiscal Year Annual Research Report
肝硬変症における肝内微小循環障害の分子機序の解明と肝機能改善のための治療法の開発
Project/Area Number |
21591755
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
赤星 朋比古 九州大学, 大学病院, 講師 (20336019)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前原 喜彦 九州大学, 医学研究院, 教授 (80165662)
富川 盛雅 九州大学, 大学病院, 准教授 (60325454)
村田 正治 九州大学, 医学研究院, 特任准教授 (30304744)
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Keywords | 肝硬変 / 肝微小循環 / ET-1 / Nitric oxide (NO / ナノカプセル / rho-kinase / VEGF / 脾臓 |
Research Abstract |
H23年度においては、(1)肝微小循環におけるRho-kinaseの役割(2)肝微小循環におけるNOとVEGFの役割(3)血小板由来セロトニンの肝微小循環への影響(4)肝星細胞特異的ナノカプセルの作成とこれによる肝微小循環障害改善治療の可能性、について研究を行い以下の成果を得た。(1)肝硬変における肝臓微小循環の特殊性の分子機序の解明としてRho-kinase、endothelin-1の役割について研究を行った。肝硬変モデルラットを作成したところ、硬変肝ではRho-kinaseの活性が上昇しており、腫大した脾臓におけるエンドセリンの発現を脾臓B cellに確認した。脾摘したラットにおいては、Rho-kinase活性が低下しており、レーザドップラーにおいて肝微少循環の改善を認めた。また、ヒト臨床における脾摘による肝機能改善の機序として、脾摘によるET-1の産生の低下が肝臓における肝臓微少循環の改善に寄与していることを初めて見いだした。(2)ラット肝再生モデルにおいて、肝微小循環において重要な肝類洞内皮の検討したところ、類洞内皮の再生がNO阻害剤であるL-NAMEによりVEGFの発現低下を伴い生じていることが明らかとなった。肝類洞内皮の循環不全、NOとVEGFのクロストークの破綻によりもたらされ、このことが肝再生不全の原因となっていることを初めて報告した。(3)胆管結紮による肝硬変モデルラットにおいて、脾臓摘出群は非脾臓摘出群にくらべ有意に肝臓中のセロトニン濃度が増加し、肝再生が促進されていた。この効果はセロトニン阻害剤により抑制されていた。血小板数の脾摘後の増加はセロトニンの小腸から肝臓への運搬を促し、ひいては肝再生を促進していることが明らかとなった。(4)NOC18-maleimide(NO放出剤)をhsp16.5ナノカプセルに内包することに成功し、硬変肝の類洞内皮および星細胞に貪食させることに成功し、これにより肝微小循環の改善をレーザドブラーにて確認することができた。本研究により肝微小循環不全の原因の解明と治療法の確立に一定の進歩を得ることができた。
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Research Products
(15 results)