2009 Fiscal Year Annual Research Report
門脈塞栓術後の機能的肝再生における胆汁酸の意義と臨床応用
Project/Area Number |
21591757
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
別府 透 Kumamoto University, 大学院・生命科学研究部, 准教授 (70301372)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀野 敬 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (60452900)
馬場 秀夫 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 教授 (20240905)
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Keywords | 門脈塞栓術 / 肝再生 / 肝萎縮 / 胆汁酸 / 肝細胞増殖因子(HGF) / 増殖因子 |
Research Abstract |
【目的】切除予定肝の萎縮と残肝の再生による肝切除率の低下を目的として門脈塞栓術を先行するが、肝再生の程度が不十分な場合がある。加えて門脈塞栓術後の肝再生は肝切除後とは異なり、肝再生と肝萎縮が同一肝内で同時に起こるため、そのメカニズムは複雑である。マウスにおいて肝切除後の肝再生には胆汁酸を介したシグナルが重要であることが報告されたが、門脈塞栓術後の肝再生への胆汁酸の関与については不明であった。われわれはヒトにおいて門脈塞栓術後の肝再生と血中胆汁酸濃度や増殖因子(HGF、TGF-β)の推移について検討を行い、塞栓術後の胆汁酸の増加と非塞栓葉における肝再生の程度が強い相関をもつことや成長因子が肝再生や肝萎縮に関与することを見いだした。【結果】ヒト門脈寒栓術後の血中胆汁酸および肝細胞増殖因子(HGF)の経時的推移に関する検討ヒト門脈塞栓術前後において血清を採取し、分注した後-80℃で解析まで保存する。血清は門脈塞栓術前、8h後、1d後、3d後、5d後、7d後、14d後で行う。血清濃度の解析はELISA法で行う。門脈塞栓術後には胆汁酸はday3以降に統計学的に有意に上昇する。血清HGFは門脈塞栓術後早期(8h)から上昇し、day1でpeakに達しその後徐々に減少する。胆汁酸の推移を非塞栓葉再生率30%で分けてみると、再生が良好な群では胆汁酸の増加が認められるのに対して、再生が不良な群では胆汁酸の増加が認められない。これらの結果は胆汁酸の増加が門脈塞栓術後の肝再生に関与していることを示唆した。術後早期(3日目)の胆汁酸増加量と肝再生の程度には正の相関関係を認めた(r=0.613, P=0.002)。【重要性と意義】ヒトの門脈塞栓術後の肝再生と血中胆汁酸濃度や増殖因子(HGF、TGF-β)の推移についてprospectiveな検討を行い、その有用性を初めて明らかにした。
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Research Products
(5 results)