2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21591761
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
伊藤 義也 北里大学, 医学部, 非常勤講師 (40203187)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬嶋 正隆 北里大学, 医学部, 教授 (70181641)
|
Keywords | 肝再生 / アセトアミノフェン / 肝類洞 / 肝微小血管 |
Research Abstract |
Vascular Endothelial Growth Factor(VEGF)はその受容体VEGF Receptor(VEGFR)に結合することにより血管新生や組織再生に関与する。障害肝再生過程におけるVEGFとその受容体の役割について更に詳細に検討するために、引き続き薬剤(アセトアミノフェン)性肝障害モデルを用い、VEGFR-1 tyrosine kinase knockout mouse(Vegfr-1 tk-/-)または野生型マウス(WT)にアセトアミノフェンを投与(300mg/kg,ip)した。WTでは一旦障害された肝類洞構造が24時間後には再構築過程に至っていたのに対して、Vegfr-1 tk-/-では肝類洞構造の更なる破壊がみられた。これにはVegfr-1 tk-/-におけるVegfr-1とVegfr-2の発現低下が関連していた。さらに免疫組織による解析にて障害部位にVegfr-1陽性細胞の集積がVegfr-1 tk-/-において著明に抑制されていた。また、その50%は遊走マクロファージ細胞であり、障害肝からの再生過程にはVegfr-1陽性マクロファージ細胞の関与が示唆された。また、Vegfr-2の関与を検討するためにVegfr-2キナーゼ阻害薬を投与したが、その効果がみられず、本実験系には肝障害再生過程にはVegfr-2の関与はないものと考えられた。従って、Vegfr-1シグナリングはアセトアミノフェン肝障害後に血管新生因子や肝再生因子を増強することで肝類洞再構築や肝修復を促進していることが示唆され、これにはVegfr-1陽性マクロファージ細胞の関与が示唆された。これらの成果を踏まえ、マウス肝虚血再潅流モデルによる検討をしている。
|