2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21591761
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
伊藤 義也 北里大学, 医学部, 非常勤講師 (40203187)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬嶋 正隆 北里大学, 医学部, 教授 (70181641)
|
Keywords | VEGF / 肝再生 / マクロファージ |
Research Abstract |
Vascular Endothelial Growth Factor(VEGF)はその受容体VEGF Receptor(VEGFR)に結合することにより血管新生や組織再生に関与する。障害肝再生過程におけるVEGFとその受容体の役割について更に詳細に検討するために、薬剤(アセトアミノフェン)性肝障害モデルに加え、マウス肝虚血再潅流モデルによる検討をした。VEGFR-1 tyrosine kinase knockout mouse(Vegfr-1 tk-/-)または野生型マウス(WT)に70%部分肝温虚血ならびに再灌流をおこなった。再灌流6,24時間後にWTならびにVegfr-1 tk-/-に同等の著明な肝障害が惹起された。WTでは48、96時間後には肝障害は正常化したのに対してVegfr-1 tk-/-における障害が強かった。すなわち急性肝障害は両群同様にもたらされたが、肝障害からの回復にVegfr-1 tk-/-で遅延がみられた。肝壊死面積でも同様の傾向がみられた。更に肝細胞増殖を調べるためにPCNAによる発現を免疫組織染色で評価すると、WTで48時間後に陽性細胞数がピークであったが、Vegfr-1 tk-/-では96時間後がピークとなり肝再生の遅延が示された。VEGF、VEGFR1の発現はWTで有意に増強されたが、VEGFR2の発現には差はみられなかった。すなわち、肝虚血再灌流後の肝組織修復にはVegfr-1シグナルが関与している可能性が示唆された。さらに免疫組織による解析にて障害部位に遊走マクロファージ細胞やVegfr-1陽性細胞の集積がVegfr-1 tk-/-において著明に抑制されていた。また肝再生成長因子の発現もVegfr-1 tk-/-において著明に抑制されていた。従って、Vegfr-1シグナリングは肝虚血再灌流障害後に肝再生因子を増強することで肝修復を促進していることが示唆され、これにはVegfr-1陽性マクロファージ細胞の関与が示唆された。これらの成果はアセトアミノフェン肝障害後の肝組織修復機構とほぼ同様であることが示された。
|
Research Products
(4 results)