2009 Fiscal Year Annual Research Report
胆道癌の悪性挙動(浸潤・転移)を制御する糖鎖分子の探索と新規分子標的治療への応用
Project/Area Number |
21591767
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
遠藤 隆志 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (60223690)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
正田 純一 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (90241827)
宇都宮 洋才 和歌山県立医科大学, 中央機器室, 講師 (60264876)
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Keywords | 胆道癌 / 糖鎖 / 糖転移酵素 / 悪性挙動 / 分子標的治療 |
Research Abstract |
癌細胞表面の糖鎖構造はその悪性挙動に深く関与する.高転移性癌細胞におけるGnT-Vの活性は高いことが知られており,その背景には糖鎖修飾によるプロテアーゼ活性の変化や,GnT-Vに誘導される血管新生能の増加などの腫瘍生物学的形質の変化が関与する.今年度において,我々はGnT-Vの発現とその組織内分布は,pT2胆嚢癌の悪性度を反映するとともに独立した予後因子であることを見出した.さらに,pT2胆嚢癌におけるGnT-V発現と血管新生能の関連性について検討を行った. GnT-Vの免疫組織学的発現は細胞核上に顆粒状に染色される発現型(granular-type)と細胞質全体がびまん性に染色されるタイプ(diffuse-type)に分類された.GnT-V陽性は46例(granular-type 27例,diffuse-type 19例),陰性は30例であった.GnT-V発現の有無およびその発現型はいずれも,病理組織学的因子との間に有意な相関関係は認められなかった.5年生存率はGnT-V陽性例(n=46)で66%,陰性例(n=30)で88%であり,陽性例で有意に予後不良であった(P=0.03).陽性例では術後に,遠隔臓器転移(P=0.04)とリンパ節転移(P=0.03)が高い傾向があった.CD31染色による微小血管密度は,GnT-V陽性例(25.0/視野)は陰性例(15.8/視野)に比して有意に高値であったが(P=0.047),granular-typeとdiffuse-typeの間では差異を認めなかった,VEGF発現はGnT-V陽性例と陰性例の間で有意な差異を認めなかった.GnT-Vに関連した血管新生の増加には,VEGF以外の血管新生因子が関与していると考えられた.pT2胆嚢癌におけるGnT-Vは糖鎖修飾に加えて血管新生を促進し,その悪性挙動や予後に関与するものと考えられた.
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Research Products
(5 results)