2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21591769
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
白井 良夫 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (50216173)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若井 俊文 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (50372470)
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Keywords | 胆嚢癌 / 肝内進展様式 / リンパ管侵襲 / 静脈侵襲 / モノクローナル抗体 / 根治手術 / 癌の転移 |
Research Abstract |
【目的】胆嚢癌の肝切除標本を組織学的に検索し,肝内進展様式を検討する。さらに,肝内進展様式が術後遠隔成績に与える影響も検討する。【方法】当科で根治切除が施行された胆嚢癌187症例のうち,組織学的に肝内進展が陽性であった52症例を対象とした。各症例の肝切除標本を,通常のHE染色およびリンパ管内皮マーカー(D2-40モノクローナル抗体)/血管内皮マーカー(CD34モノクローナル抗体)を用いた免疫組織化学染色により検索した。さらに,肝内進展様式と術後遠隔成績を含む臨床病理学的因子との関連も検討した。【成績】肝内進展様式を,(1)肝内直接浸潤,(2)グリソン鞘内進展,(3)肝内転移結節の3型に分類すると,(1)単独は10例,(2)は31例,(3)は11例であった。グリソン鞘内進展陽性の31例において,リンパ管侵襲は全例で陽性,静脈侵襲は3例のみで陽性であった。グリソン鞘内進展例では,「肝内直接浸潤の深さ(x)」と「グリソン鞘内進展の先進部までの距離(y)」とが正の相関を示した(r=0.55389;P=0.0072;y=1.899+0.141x)。グリソン鞘内進展はリンパ管侵襲と関連し(P<0.001),肝内転移結節は静脈侵襲と関連した(P<0.042)。肝内進展様式は独立予後因子であり(P<0.001),肝内転移結節陽性例は術後1年以内にすべて原病死したが,他の肝内進展様式では長期生存例も得られた。【結論】胆嚢癌切除例の肝内進展様式ではグリソン鞘内進展が優位であり,その主な機序はリンパ行性進展である。肝切離マージンを決定する際には,グリソン鞘内進展の存在を考慮すべきである。肝内転移結節は血行性転移と考えられ,根治切除を行ってもその予後は不良である。一方,他の肝内進展様式に対しては,根治切除を追求すべきである。
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