2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21591796
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
丸井 晃 京都大学, 医学研究科, 准教授 (60402856)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三和 千里 京都大学, 医学研究科, 講師 (10359812)
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Keywords | 血管新生療法 / 多血小板血漿 / 増殖因子 |
Research Abstract |
下肢切断を免れない重症下肢虚血の患者に対する治療として血管新生療法が注目を浴びている。生体内での血管新生は様々な増殖因子の相互作用により成り立っており、単一増殖因子での方法の限界が報告されている。 そこで我々は、血小板を濃縮した多血小板血漿Platelet Rich Plasma : PRPに注目した。PRPは様々な血管新生因子・組織再生因子を含んでいるが、増殖因子は半減期が短い欠点があるため、ゼラチンハイドロゲルを用いたDDSを確立し、PRPから放出される様々な増殖因子を徐放化することによる相乗効果により、血管新生の更なる効果を期待している。我々の以前の研究では、糖尿病マウス下肢虚血モデルにおいてゼラチンハイドロゲルを用いたPRP投与の有効性が確認できた(Bir SC, Esaki J, Marui A, et al. J Vasc Res. 2011 ; 48(3):195)。そして、PRPにはVEGF、bFGF以外にSDF-1、PDGF-BBなどの豊富な増殖因子を含んでいることが確認でき、またPRP徐放化ゼラチンハイドロゲルをマウス虚血下肢モデルに筋肉注射することで、レーザードップラー血流計による血流改善や、血管内皮や平滑筋マーカーによる血管新生・動脈形成効果も確認された。この結果は自己血小板を用いることにより、糖尿病患者に対してもより安全かつ効果的に血管新生療法が行える可能性が示唆しており、臨床応用に向けて重要な知見が得られたと思われる。今後は虚血下肢に対する血管新生療法の臨床応用を目指して、より成熟性の高い血管新生を得るための方策を、ウサギ下肢虚血モデルを用いて検討する予定である。
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