Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅津 光生 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90132927)
中村 亮一 千葉大学, 大学院・工学研究科, 特任准教授 (30366356)
鈴木 孝司 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (00468688)
植松 美幸 国立医薬品食品衛生研究所, 医療機器部, 主任研究官 (10424813)
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Research Abstract |
われわれがこれまでに開発した大血管手術用ナビゲーションシステムには,身体全体のうち大まかな血管位置を特定するナビゲーションと再建する標的血管位置特定のためのナビゲーションの2段階がある.これらの一本化には,患者の画像情報と実際の身体構造との位置合わせ(レジストレーション)の簡易化が求められた.レジストレーションへの影響は特に,手術中のベッド移動,患者個人ごとの体格の違いが大きい.そこで,次の2つのサブシステム,1)ベッドを動かしたときの位置ずれを補正するベッドマーカシステム,2)体表から骨格点を用いる際に患者の皮下組織厚を考慮した大局レジストレーションアルゴリズムを開発し,統合した. 1)についてはベッド移動に対する追従実験を行ったところ,ドレープの上から固定しても位置計測誤差は0.1mm以下であり,十分な性能を満たした.2)については患者によって異なる皮下組織厚を補正し,骨格上の特徴点でレジストレーションを行った上で標的血管の位置推定するアルゴリズムを開発した.人体模型を対象に,骨格上のレジストレーション点として体表から3点(胸骨角,左前腸骨棘,恥骨稜)を選び,標的血管として体内の3点(左の肋間動脈起始部Th10,Th11,Th12)を特定する評価実験を行った.皮下組織厚に基づいた補正を行ったところ,全体誤差は補正前の8.3mmから5.3mm,方向別では左右方向が6.3mmから3.8mm,背腹方向で3.8mmから1.6mm,頭足方向で2.3mmから1.8mmとなった.これにより,皮下組織厚の補正で標的血管との位置関係が修正され,誤差の低減につながると考えられた. 上記システムの統合で,体表から骨格上の点を計測し,体内の標的血管を特定するナビゲーションが構築された.肋間動脈のレベル同定は,頭足方向に5mm以下の誤差範囲である必要条件を満たす可能性が示唆された.
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