2011 Fiscal Year Annual Research Report
ラットでの大動脈弁狭窄症術後肥大心筋の治癒過程の研究:エプレレノン投与は有用か?
Project/Area Number |
21591806
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
小澤 英樹 大阪医科大学, 医学部, 助教 (20277156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根本 慎太郎 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (20237811)
高井 真司 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (80288703)
星賀 正明 大阪医科大学, 医学部, 助教 (90309154)
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Keywords | 大動脈弁狭 / 左心室肥大 / 間質線維化 / 大動脈弁置換術 / リモデリング / アルドステロン系 / ミネラロコルチコイド受容体拮抗 / エプレレノン |
Research Abstract |
大動脈弁狭窄症による左心室肥大の大動脈弁置換術後の再リモデリング過程の観察と治療介入の可能性の探究を行った。現在までの文献では左心室肥大形成過程におけるレニン-アルドステロン系抑制の肥大抑制と心不全防止の効果が報告されているが、肥大刺激となる後負荷が解除された後の肥大心の挙動を観察した報告はなく誰も知るところではない。平成21、22年度で困難を極めたラット大動脈弓部絞拡による左心室肥大モデルの確立が最終年度で可能となった。大動脈絞拒作成後8週に十分な左心室肥大が誘導されていることを確認し大動脈絞拒を解除した。同時にミネラロコルチコイド(アルドステロン)受容体拮抗薬(エプレレノン)1mg/kg/日の経口投与を開始し8週間の治療後に左心室機能、組織学的特徴、分子生物学的発現について無治療の場合(vehicle 投与)と比較し検討した。心臓超音波検査ではエプレレノン投与群では無治療群に比較し、より正常に近い心室形態となりドップラー法では左心室の等容拡張と流入がより改善した。Tei-indexに代表される心機能パラメーターも改善した。組織学的にはエプレレノン投与群では無治療群に比較し、心筋細胞径と間質線維化が軽度であった。これは分子生物学的にはβ/αミオシン重鎖mRNAの比率とTGF-β1のmRNA発現の正常化を伴っていた。またエプレレノンの投与によって無治療群で見られたミネラロコルチコイド受容体とアンギオテンシン1-α受容体のmRNAの過剰発現がエプレレノンの投与によって正常化された。当初計画していた線維化コラーゲン代謝を検討するまでには至らなかった。また国の内外での学会発表と論文作成には至っていない。次年度への課題である。しかしながらこの成果を臨床に応用することは意義があり、大動脈弁狭窄症に対する大動脈弁置換術後にエプレレノン内服を組み合わせることにより左心室肥大の正常化へのリモデリングをより効果的に誘導できる可能性が示唆された。
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