2011 Fiscal Year Annual Research Report
肺虚血再灌流障害の発症機序-TLR4を介した細胞内シグナル伝達経路の解明-
Project/Area Number |
21591811
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
島本 亮 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (90324524)
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Keywords | 外科 / 移植・再生医療 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
【背景】Toll-like receptor-4 (TLR4)阻害によるNF-κB抑制が肺虚血再灌流障害(LIRI)を抑制することを報告した。一方、NF-κBはischemia preconditioning現象(IPC)においても重要な役割を担うことが示唆されている。近年、TLR4からNF-κBに至るシグナル伝達経路としてMyD88に代わりTRIFを介する経路(MyD88非依存経路)が発見された。そこでTLR4からNF-κBに至るシグナル伝達経路の相違がNF-κBの相反する作用(LIRI/IPC)の振り分けに関与しているのではないかと仮定し以下の検討を行った。 【方法】wild-type(WT)、TLR4/MyD88/TRIF KOを用いて「60分間虚血+180分間再灌流」のLIRIモデル、「5分間虚血+5分間再灌流+5分間虚血+5分間再灌流+5分間虚血+30分間再灌流+60分間虚血+180分間再灌流」のIPC+LIRIモデルを作製し、肺障害(permeability index[PI]、MPO活性)、及びNF-κB活性を測定した。 【結果】TLR4 KO及びMyD88 KOではWTと比べ、LIRIは有意に抑制され(PI:P<.001、MPO活性:、P<.002)、同時にNF-κB活性も有意に抑制された(P<.001)。一方、IPC+LIRIにおいてWT及びMyD88 KOではLIRIは有意に抑制されるも、TLR4 KO及びTRIF KOではLIRIの抑制を認めなかった。 【結語】TLR4を介した細胞内シグナル伝達においてMyD88依存経路がLIRIを、MyD88非依存経路がIPCを誘導することが示された。したがって、TLR4からNF-κBに至るシグナル伝達経路の相違がNF-κBの相反する作用の振り分けに関与していることが示唆された。 本研究の成果をとりまとめて発表した(Journal of Heart and Lung Transplantation及びAnnals of Thoracic Surgeryへ投稿中)。
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