2010 Fiscal Year Annual Research Report
癌遺伝子K-Ras及びMycを標的とした新規肺癌治療法の開発
Project/Area Number |
21591814
|
Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
深澤 拓也 川崎医科大学, 医学部, 講師 (20379845)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松岡 順治 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30332795)
山辻 知樹 川崎医科大学, 医学部, 講師 (40379730)
猶本 良夫 川崎医科大学, 医学部, 教授 (00237190)
|
Keywords | 肺癌 / Myc / K-Ras / アデノウイルスベクター |
Research Abstract |
癌原遺伝子Mycは多種の癌において発現異常が報告されている。MycのbHLH ZIPドメインにおける4アミノ酸置換体であるOmomycはMycとヘテロダイマーを形成することで下流シグナルを抑制し、Myc発現型腫瘍またKRAS変異型肺癌に対して抗腫瘍効果を誘導する。 Omomycを発現できるリコンビナント・アデノウイルスベクター:Ad-Omomycをは、Mycを発現している肺癌細胞株:A549に細胞増殖抑制効果およびapoptosisを誘導する一方でMyc発現の低い肺癌細胞株:H441またヒト正常肺腺維芽細胞:NHLFにおいてこれらの効果は認められなかった。しかし、H441細胞に対しMycそのものを発現できるアデノウイルスベクター:Ad-MycをAd-Omomycと共感染させると当該細胞にapoptosisが認められた。 Caspase基質を用いた解析により、Ad-OmomycまたAd-MycおよびAd-OmomycがそれぞれA549、H441細胞に誘導するapoptosisはcaspase-3を活性化し、またこれらの細胞死はcaspase阻害剤zVAD-fmkにより抑制された。 さらにin vivoでの検討においてAd-OmomycはA549肺癌細胞接種により 作製されたヌードマウス皮下腫瘍に対して抗腫瘍効果を誘導した。またドキシサイクリン投与により肺癌を発症するマウス:CCSP-rtTA/Tet-op-K-Ras4bG12Dにおいて、AdOmomycの経気管投与後、発症肺癌に対する抗腫瘍効果が認められた。 上記の検討により、Ad-Omomycを用いることでMycの発現型肺癌に対し抗腫瘍効果を誘導でき、その細胞死誘導機序にはcaspaseを介したapoptosisが関与することが示された。またin vivoの検討から当該ベクターのKRas変異型肺癌に対する抗腫瘍効果が期待できる。
|
Research Products
(2 results)