2010 Fiscal Year Annual Research Report
機能的血管内皮前駆細胞を用いた新規脳梗塞治療法の確立
Project/Area Number |
21591833
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
鈴木 謙介 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (20400674)
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Keywords | 再生医療 / 脳梗塞 / 血管内皮前駆細胞 / 動物モデル |
Research Abstract |
【背景】EPCは細胞治療のsourceとして期待されているが、急性期脳梗塞に対するデータは非常に少ない。一方、脳梗塞の治療sourceとして、EPCの他に神経幹細胞や間葉系幹細胞、ES細胞、iPS細胞などが研究され、一部臨床試験が進んでいる。本学では、aldehyde dehydmgenase(ALDH)活性の低いEPCのsubgroup(Alde-Low EPC)が、虚血性皮膚壞死に対する治療効果が高いことを発見した。本研究では、急性期脳梗塞に対するAlde-Low EPCの治療効果を検証し、その機序を解析することにより、より効果的なEPC療法を開発することを目的とする。 【方法】ヒト臍帯血から単核球を分離培養し、CD45(-)/CD31(+)/Ac-LDL(+)の細胞をEPCと同定した。単離したEPCをAIDH活性により2つの細胞集団に分離して使用した。ラットー過性脳虚血モデルを作製し、再還流後30分で内頚動脈からGFPにより可視化した各細胞(HUVEC, Alde-High EPC, Alde-Low EPC;各n=10)を投与した。24時間後の脳梗塞体積や、投与細胞の脳内分布を経口免疫染色により観察・定量した。さらに、siRNAを用いてCXCR4の発現をdown regulationしたAlde-Low EPC(CXCR4si)を投与して解析した。 【結果】脳梗塞体積はAlde-Low EPC投与群でのみ抑制され(p=0.005)、Alde-Low EPCは虚血領域に特異的に集積していた(P=0.05)。CXCR4siの投与では、虚血領域への集積能力は低下し(p=0.05)、脳梗塞抑制効果も減弱していた(p=0.05)。 【考察】EPCの急性期治療メカニズムとして、angiogenesisによる血流改善作用よりも、EPCが産生するtrophic factorによる神経保護作用が働いていると考えられる。この治療効果は、EPCの虚血部位への特異的集積により発揮されているものと考えられ、その集積にSDF-1/CXCR4系が強く関与していることが示唆された。従って、特定のEPC subgroupによる細胞治療が急性期脳梗塞の有効な治療戦略となり得ると考えられた。
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