2011 Fiscal Year Annual Research Report
核内転写因子PPARγの虚血性神経細胞障害保護機構の解明
Project/Area Number |
21591835
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
木内 博之 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (30241623)
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Keywords | PPARγ / 脳虚血 / アポトーシス / Akt |
Research Abstract |
PPARγ作動薬であるチアゾリジン誘導体は血糖降下とインスリン抵抗性の改善作用を有する糖尿病治療薬であるが、抗炎症作用や抗動脈硬化作用、ならびにアポトーシス抑制効果などの多面的臓器保護作用を示すことが報告されている。我々は前年度までに、PPARγ作動薬であるピオグリタゾンの経口投与が、容量依存的にラット一過性前脳虚血後の海馬神経細胞死を抑制することを明らかとした。本年度は、PPARγ作動薬による神経保護作用の機序を解明するため、細胞生存シグナルの中心的役割を果たすAkt、および近年細胞保護作用が注目されているsignal transducer and activator of transcription 3 (STAT3)の活性化に及ぼすピオグリタゾンの効果を検討した。ピオグリタゾンもしくはvehicleを投与したラットに一過性前脳虚血を負荷し、虚血後1、8、24、72、120時間後に断頭した。海馬CA1領域を摘出した後、全分画蛋白質を抽出し、western blot解析用のサンプルとした。Western blot解析の結果、脳虚血後1-8時間での海馬CA1領域におけるAktのリン酸化(Ser473)はピオグリタゾン投与群ではvehicle投与群に比べて有意に亢進しており、更にAktの下流に存在するglycogen synthase kinase (GSK)-3βのリン酸化(Ser9)も亢進していた。また、虚血8時間後でのSTAT3のリン酸化(Tyr705)もピオグリタゾンの投与により亢進していた。以上より、PPARγ作動薬はAkt経路およびSTAT3の活性化を介し神経細胞保護効果を示すことが明らかとなった。
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