2010 Fiscal Year Annual Research Report
もやもや病に対するVEGF遺伝子導入と骨髄幹細胞移植のダブル治療
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21591840
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
徳永 浩司 岡山大学, 病院, 講師 (40294467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菱川 朋人 岡山大学, 病院, 助教 (60509610)
亀田 雅博 岡山大学, 病院, 医員 (50586427)
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Keywords | もやもや病 / 細胞療法 / 遺伝子治療 / 血行再建術 / 前臨床研究 |
Research Abstract |
ヒトのもやもや病は、徐々に病期が進行するとされ、最終的には内頸動脈系の脳主幹動脈も脱落し、外頸動脈系・椎骨動脈系によって血流保全がもたらされる。徐々に進行する慢性低灌流の経過の中で、血流保全に破綻が生じた時に、脳梗塞を合併する。よって、動物モデル作成においては、モデル作成に伴う侵襲を極力減らし、慢性に進行する病態を再現する必要がある。サル等の霊長類においては、開胸手術を行い、両側の無名動脈、総頸動脈を、Aorta分岐部より、クリップで一時的に遮断し一過性全脳虚血を作成したとの報告があるが、非常に侵襲的である。そこで、我々は血管内手技による、低侵襲な一過性全脳虚血モデルの開発を目指した。まずは血管内手技による脳虚血状態の作製が安定して可能か判断すべく、平成22年度は片側の内頸動脈の遮断を行った。全身麻酔の上、体温(37℃)を保ち、血管撮影を行いながら、カテーテルを腹大動脈、下行大動脈、上行大動脈と経由し、サル特有のBovine archにアプローチし、カテーテルを留置した。そしてそこからPercuSurge Guard Wire systemと呼ばれるマイクロサイズのバルーンを内頸動脈まで進め、バルーンを拡張し、2時間片側の内頸動脈を閉塞し、その後バルーンを収縮させ、再灌流を行った。サルは片麻痺症状を呈しており、過量の麻酔薬下にサクリファイスし、血管と脳を取り出し、組織の検討を行った。血管のマクロ所見としては、Bovine archの確認ができた。また、ヒトと比べると、前方循環に比し、後方循環の血管の発達が目立った。一方、脳組織においては、前大脳動脈領域に脳梗塞巣を確認できた。今回、血管内手技を用いて片側の脳梗塞巣作成に成功したことから、今後、カテーテルにトリプルコネクターを使用し、対側の頸動脈も血流遮断し、慢性低灌流モデルの作成が可能か検討する予定である。
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