Research Abstract |
本研究では,撹拌効果を左右する要因について調査する.また撹拌効果を高めるために,血栓除去に有効な撹拌システムの開発を目的とする.撹拌効果を検証するため,検証用の撹拌器を設計した.その構造は,積層型の圧電素子を2つ取り付け,撹拌器の先端に細い梁(1×0.5×50)を取り付けた構造になっている.この撹絆器は,PZT1を駆動することでX方向振動(厚さ方向の曲げ振動)を起こし,PZT2でY方向振動(幅方向の曲げ振動)の2方向への振動を起こすことが出来る撹拌器である.撹拌器の先端断面は長方形になっているため,振動方向による撹拌面の面積が違うため,この撹拌効果への影響も確認できる.実験方法,計測方法について説明する.撹拌器の駆動方法は,ファンクションジェネレータから撹拌器に電圧を印加し,共振点において振動させる.撹拌効果の評価方法として2種類の方法を用いた.1つ目は,水に混入したトレーサーを巻き上げる様子を,高速度カメラで撮影することで定性的な評価を行った.2つ目は,水とグリセリンの二層からなるグリセリン溶液を撹拌する.この溶液のインピーダンスのピークのシフト量を計測することで,撹拌効果の確認を行う.インピーダンス計測にはインピーダンスアナライザを用いた.なお,本実験においては,撹拌と計測は一つの撹拌器で行うことが可能であるが,計測用として周波数領域が安定している撹拌器を用いた.実験は,入力電圧50[V],入力信号正弦波で行った 検証用撹拌器のX方向,Y方向の1~3次曲げ振動モードの撹拌効果を検証した結果から,撹拌には周波数,振幅,振動方向に垂直な面の面積が重要となることが分かった.中でも撹拌効果を左右する要因として,「変位」が最も重要なものであることがわかった.また,撹拌の振動周波数は撹拌対象の状況に依存し効果的な周波数が変化することが分かり,この低次・高次モードの特徴を生かして,振動モードを組み合わせる事でより高速に治療を終わらせるための効果的な撹拌手順を提案し,高い撹拌効果を示すことができた また,脳血栓の手法をリポソームの放出制御に応用し,機械振動を与える対象をリポソームにした場合に周波数や振幅の違いによる影響を観察し,効果的なリポソームの破壊方法について提案した
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