2010 Fiscal Year Annual Research Report
分子イメージングPET核種を用いた頭部外傷における脳虚血の検出
Project/Area Number |
21591845
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
河井 信行 香川大学, 医学部, 准教授 (40294756)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川西 正彦 香川大学, 医学部, 助教 (80325349)
河北 賢哉 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (10505803)
山本 由佳 香川大学, 医学部附属病院, 講師 (30335872)
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Keywords | 頭部外傷 / 脳虚血 / 低酸素 / 陽電子 / 脳内微小透析法 / 脳血流量 / 脳酸素代謝率 / ペナンブラ |
Research Abstract |
【具体的内容】急性期のPET検査は、脳挫傷を認めた22名(男性16名、女性6名)を対象とした。また脳内微小透析法(MD)による局所脳代謝と生化学的パラメータの測定は、重症頭部外傷例8名(全例男性)を対象とした。検査は、(1)脳循環代謝測定は、^<15>Oガス吸入法により脳血流量(CBF)、脳酸素代謝率(CMRO_2)、脳酸素摂取率(OEF)を定量的に測定し画像化した。(2)低酸素領域の検出には、FMISOを用いて有意な集積部位を描出した。(3)MDは、プローブを局所性脳損傷では脳挫傷周辺部に留置して1時間毎に連続測定を行った。結果として、(1)脳挫傷周辺部におけるCBFは対側大脳皮質に比較して約89%と軽度の低下であったが、CMRO_2、OEFはそれぞれ約67%、75%と強度に低下しており脳挫傷周辺部において脳血流障害に比して強い脳酸素代謝の障害が認められた(相対的贅沢灌流状態)。(2)今回検討した症例には、脳挫傷周辺部に明らかな低酸素部位は同定できなかった。(3)脳挫傷周辺に留置したプローブからの測定で、乳酸/ピルビン酸比が上昇した症例があった。【意義】脳挫傷周辺ではいわゆる相対的な贅沢灌流状態が、急性期のみならず亜急性期まで持続することが明らかとなった。またFMISOを用いたPET検査により脳挫傷周辺部では明らかな低酸素領域は確認できなかったが、MDでは乳酸/ピルビン酸比が上昇した症例があった。以上の結果から、脳挫傷周辺部にはペナンブラと考えられる低酸素領域は存在せず、急性期から亜急性期にかけて脳血流は改善傾向を示すが、脳酸素代謝障害が長く続くことが明らかとなった。MDで認められた乳酸/ピルビン酸比の上昇は脳虚血以外の要因があると考えられた。【重要性】PETによる研究を積み重ねていくことで頭部外傷に伴う二次的脳損傷に及ぼす脳虚血や低酸素の存在の有無を明らかにすることができると考えられる。
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Research Products
(4 results)