2009 Fiscal Year Annual Research Report
脳プレコンディショニングにおけるCAVEOLIN-1の研究と応用
Project/Area Number |
21591853
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
横山 高玲 Yokohama City University, 医学部, 助教 (00347329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川原 信隆 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (60214673)
菅野 洋 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (40244496)
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Keywords | 脳虚血 / プレコンディショニング / 虚血耐性 / 全脳虚血 / CAVEOLIN-1 |
Research Abstract |
プレコンディショニングとは、臓器に対して細胞死を起こさない程度のストレスを与えることで、その後の致死的ストレスによる臓器障害を軽減させるという一般的な現象である。脳に関しても様々な機序が言われている中で、Caveolin-1という細胞膜構成蛋白が保護機序の一因子として報告されている。in-vivoにおいてこの現象を再現し、機序を解明することが研究目的である。研究の前段階として、wild type mouseにおける虚血プレコンディショニングの神経保護効果を確認するために、致死的虚血群、プレコンディショニング群、プレコンディショニング後致死的虚血群の処置条件設定を検討した。虚血プレコンディショニング群では、両側総頚動脈閉塞時間を3分間としたところ、術後3日目で両側海馬の生存神経細胞率が、sham手術(両側総頚動脈剥離のみ)とほぼ同じ結果となった(sham:プレコンディショニング=95.2±3.0%: 95.9±1.0%(平均値±標準偏差))。一方、致死的脳虚血群では、両側総頚動脈閉塞時間の設定に難渋したが(安定した神経細胞死と高い術後生存率を得るため)最終的に12分間とし、術後3日目生存神経細胞率が有意にsham、プレコンディショニング群より低いことを確認した(25.8±25.6%)。また、虚血プレコンディショニング後致死的脳虚血群においては、致死的脳虚血処置(12分間)の24時間前に虚血プレコンディショニング(3分間)行ったところ、致死的虚血群よりも高い生存神経細胞率を得(67.4±21.3%)、プレコンディショニングの効果を再現できた。しかしながら、1)虚血処置後脳血流量が10%以下に低下しないものがある、2)神経細胞死が左右どちらかに偏在、あるいは海馬内の各部位に散在し一定しない、3)処置後の生存期間が短い、などの問題が明らかとなった。これらの問題点は、knockoutあるいはtransgenic mouseを対象とした場合、結果に影響を及ぼすと考えられ、完全な全脳虚血モデル(両側総頚動脈+脳底動脈閉塞)への変更を予定している。
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Research Products
(2 results)