2009 Fiscal Year Annual Research Report
顔面神経核の逆行性変性阻止への末梢性、中枢性グリアの作用と軸索再生機序の解明
Project/Area Number |
21591859
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
長谷川 光広 Fujita Health University, 医学部, 教授 (70218460)
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Keywords | facial nerve injury / retrograde degeneration / facial nucleus / astrocyte / Schwann cell / stereotactic surgery / brainstem / facial motoneuron |
Research Abstract |
経小脳法により定位脳的に脳幹内膝部の顔面神経中枢軸索を損傷することで顔面神経核の逆行性変成モデルを確立し、その機序につき検討した。末梢部位(Schwann細胞被覆髄鞘部分)の損傷では、軸索再生を抑制させた系であっても損傷後1カ月を経てなお90%以上の顔面神経核が生存するのに対し、脳幹内損傷系(棒突起膠細胞による被覆髄鞘部分の髄鞘損傷)では1週間で3割に減少、2週間で1/4、1ヶ月後には1/25以下の顔面神経細胞のみしか生存しない。これまでの知見により、損傷と同時に末梢神経組織あるいは筋組織を脳幹内に移植した系ではそれぞれ10倍、4倍の顔面神経核神経細胞の生存率を示すことから、各組織からの液性因子の関与が示唆される。顔面神経核周辺のアストロサイトには内因性にエリスロポイエチン(EPO)が、顔面神経核の神経細胞膜にはEPO受容体が発現しており、さらには外因性EPO投与により逆行性変性は抑制される。さらに、NADPH-diaphoraseの発現変化からこの機序に酸化ストレスが関与している可能性が示唆される。損傷部位周辺におけるMMP-2の活性は不変であるが、MMP-9のgelatinase-activityの活性上昇とEPO陽性のアストログリアの集簇がみられることから、アストログリアの遊走が関連するものと思われる。現在、変性阻止効果、軸索再伸長効果と末梢性並びに中枢性グリア、マイクログリア、マクロファージの関連性、trophic interaction等の詳細を検討している。
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