2010 Fiscal Year Annual Research Report
骨粗鬆症性脆弱性脊椎骨折に対する骨代謝改善薬の適正使用に関する研究
Project/Area Number |
21591890
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鐙 邦芳 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00159419)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安倍 雄一郎 北海道大学, 病院, 助教 (80547604)
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Keywords | 骨代謝 / 骨粗鬆症 / 脊椎骨折 / 脊椎固定術 / 構造解析 |
Research Abstract |
骨粗鬆症治療を目的に投与される骨代謝改善薬は、脆弱性脊椎骨折や脊椎再建手術後の骨修復過程に影響を与える可能性があるが、現在、骨折後早期や術後早期の薬剤選択や使用法に関する指針は無い。しかし、骨の早期治癒と体幹支持性の獲得は、脊椎骨折や再建手術後の最優先課題であり、長期的な骨折予防のために骨修復過程が妨げられるようなことがあれば本末転倒と言わざるを得ない。本研究の目的は、動物モデルを用いた基礎的研究により、各種骨代謝改善薬が脆弱性脊椎骨折や脊椎再建術後の骨修復に与える影響を明らかにし、骨修復期の適切な薬物療法の使用指針を作成することである。 本年度の主たる研究内容は、初年度に作成した骨脆弱性骨折動物モデルを用いて骨代謝改善薬が骨折治癒過程に与える力学的および構造学的影響を調査することであった。本研究ではコントロール群を含めた4群(B群:アレンドロネート投与、S群:選択的エストロゲン受容体調節薬投与、P群:副甲状腺ホルモン間欠投与)を設定し、偽関節形成後より8週間後に動物を安楽死させ試料を採取した。3点曲げ試験においてはB群とP群で優位に固定椎間の剛性値が高く、CTにて骨癒合が早期から確認された。B群では皮質骨有意の大きな癒合骨塊が形成されるのに対し、P群では外郭に皮質骨を持ち内部に海綿骨を有する癒合骨塊が形成されることがわかった。これらの結果は、骨粗鬆症性脆弱性脊椎骨折の治癒過程においても、各種の骨代謝改善剤の作用メカニズムにより異なる治癒形態をとることを示しており、臨床上の薬剤選択の重要性を示唆するものと考えられる。
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