2011 Fiscal Year Annual Research Report
iPS細胞由来アストロサイトの選択的分化誘導と脊髄損傷急性期治療への応用
Project/Area Number |
21591892
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
村田 淳 千葉大学, 医学部附属病院, 准教授 (20344997)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 正志 千葉大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (50281712)
大河 昭彦 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (30312945)
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Keywords | 脊髄損傷 / iPS細胞 / NSS法 / rat / astrocyte / ACM / allodynia / BBB score |
Research Abstract |
【目的】(1)Neural Stem Sphere(NSS)法はES細胞より効率よく神経幹細胞を分化誘導できる。(2)Astrocyteが炎症の波及を防ぐ、再生軸索のガイダンスとなる、という脊髄損傷に対する有益面に関する報告も増えている。本実験の目的は、iPS細胞よりNSS法を用いて分化誘導したAstrocyteをラット脊髄損傷モデルに移植し、その効果を検討することである。 【方法】8週齢雌SDラットの第9-10胸椎レベルに、IH Impactorを用いて脊髄損傷を作成した。脊髄損傷3日後に、10万個/5μ1のiPS細胞由来Astrocyteを髄注したものをAstrocyte移植群(N=20)、DMEMを髄注したものをDMEM群(N=10)とした。移植する寸前にPKH26Red処理を行いマーカーとした。 下肢運動機能評価として、BBB scoreを、Inclined plane test、SCANETを行った。アロディニアの評価として、損傷8週時にThermal hyperalgesia test(熱刺激)と、Mechanical allodynia test(圧刺激)を行い、非脊髄損傷ラット(N=5)も加えて検討した。組織学的検討として残存髄鞘量、GFAP陽性面積、CGRP陽性面積を計測した。 【結果】下肢運動機能評価に両群で有意差はなかった。Astrocyte移植群はノーマル群に比し有意に熱刺激に過敏であり、ノーマル群とDMEM群に比して有意に圧刺激に過敏であった。移植細胞は移植後8週の時点で生存していたが、GFAPの染色性が陰性となっていた。組織学的検討では、全ての項目で両群間に有意差はなかった。 【結論】下肢運動機能の改善はなく、Astrocyte単独移植では効果が不十分であることが考えられた。Astrocyteのアロディニアへの関与が示唆さえたが、移植時期によりその効果に違いがみられた。
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