2011 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄損傷慢性期での細胞移植を併用した再髄鞘化と運動機能再建
Project/Area Number |
21591894
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
榎本 光裕 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 寄附講座教員 (90451971)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若林 良明 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (00431916)
早乙女 進一 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 寄附講座教員 (20401391)
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Keywords | 脊髄損傷 / 神経再生 / 神経栄養因子 / 神経幹細胞 / 移植 / 担体 |
Research Abstract |
最終年度は、担体と細胞を組み合わせた移植実験を行い運動・知覚機能検査と細胞の生着および再生軸索の評価を行った。GFPを標識したラット胎児由来神経幹細胞(NPC)を培養し、一定の配向性を持ったハニカムコラーゲン(HC)に細胞を導入し3日間培養した。培養したHC孔内にはGFP陽性NPCが生着し神経幹細胞のマーカーであるネスチン陽性細胞であった。ラット脊髄圧挫損傷後、6週後にNPCと一緒に培養したHCを空洞部分に移植した。運動機能は、非移植群と比較すると低下しており手術操作による侵襲が大きいものと考えられた。移植6週で組織学的に観察すると移植HCは空洞を埋めていてGFP陽性NPCの生着が認めらたが、ホスト脊髄からの再生神経線維の進入が認められなかった。このことは、脊髄損傷慢性期の空洞周囲では瘢痕形成が強く組織適合性の高い人工担体を利用してもホスト脊髄との適合が不十分であったことが示唆された。空洞内を利用した脊髄再生には瘢痕を外科的に切除したりプロテオグリカン分解酵素を用いた手法が必須になると考えられた。一方、昨年度報告したラット胸髄半側欠損モデルにHCと骨髄細胞を併用して移植した。移植後は、細胞移植併用群で運動・知覚機能ともに改善が促進されていた。移植後4週で組織学的に解析すると細胞移植群では、ニューロフィラメント陽性再生軸索がHC単独移植と比較して約2倍多く観察された。また、HC移植部での再生軸索を免疫染色で確認するとカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)陽性線維が大部分であって細胞移植の併用で知覚神経線維の再生増加が原因と考えられた。運動機能改善に関与するセロトニン陽性線維は、両群で差がなかった。神経伝導路の検索に逆行性神経トレーサ(FG)を移植遠位に注入した。細胞移植群で赤核でのFG陽性細胞数が多く観察されたことから赤核脊髄路の再生が関与していることが分かった。最後に髄鞘化を示すミエリン染色では両群で差がなかった。脊髄損傷環境で再髄鞘化を促進するには移植環境の整備と髄鞘化を促す因子の投与が必要になりより複合的な治療体系の確立が動物モデルであっても必要である。
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Research Products
(9 results)