2009 Fiscal Year Annual Research Report
骨移植不要の椎間固定材料としての表面処理多孔体チタンの骨形成能の比較研究
Project/Area Number |
21591898
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
根尾 昌志 Kyoto University, 医学研究科, 准教授 (80311736)
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Keywords | 生体活性 / チタン / 脊椎 / インプラント / 固定術 |
Research Abstract |
ウサギ(日本白色家兎)を用いたHAコーティングチタンとアルカリ加熱処理チタンの骨伝導能比較実験を行った。 ウサギの大腿骨顆部に直径6mm、高さ10mmの円柱状の多孔体チタンを挿入した。チタンはプラズマ溶射法によって作成した。使用する多孔体チタンは表面処理のないもの(コントロール)、HAコーティングをしたもの、アルカリ温水加熱処理をしたもの、アルカリ希塩酸加熱処理をしたものの4種類を用いた。HAコーティングに関しては現在臨床で用いられている人工関節と同様の方法でフレーム溶射処理されたもの、化学加熱処理に関してはこれまでの報告と同様の方法で処理されたものを用いた。 埋入後6, 12, 26週で標本を作製し、光学顕微鏡、蛍光顕微鏡、走査型電子顕微鏡をもちいて組織学的に評価し、多孔体内に形成される骨の定量評価を行った。組織標本は非脱灰組織で作成し、光学顕微鏡や蛍光顕微鏡を用いて多孔構造内に進入してくる骨組織を観察し、骨伝導能の経時的評価を行った。 6週の時点では4種類の材料間に有意の差を認めなかったが、12週からコントロールとHAコーティングの材料内部の骨量が減少する傾向が見られたのに対し、2種類のアルカリ処理材料では埋入後半年までは材料内の骨量が増え続けた。埋入後半年では、HAコーティングそのものが吸収されている場所が観察された。埋入6週の時点でのコントロール、HAコーティング、アルカリ温水加熱処理、アルカリ希塩酸加熱処理材それぞれのインプラント内部での骨形成量(%)は順に14.7、 14,9、 17.7、 17.9であった。同様に埋入12週ではそれぞれ、6.7、 12.4、 20.7、 23.3となっていた。埋入26週ではそれぞれ、4.2、 10.7、 21.4、 27.9となっていた。 埋入後半年までの結果では、処理層の骨伝導に関してHAコーティングよりもアルカリ加熱処理の優位性が示される結果となった。
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